□【LOVER】












「青峰っち。今日はマジバいく?」




甘い声色は、己の膝枕で眠る恋人に向けて。それ以外は、どうでもいい。



群青色の艶のある髪を優しく優しく空いていると、青峰はニュッと浅黒の長い手を黄瀬の腰に回し、腹に頭を押し付ける。



青峰が気を許し、甘えているのが判り黄瀬は美しく微笑を浮かべた。


愛おしい。青峰。



屋上はだいぶ涼しくなってきた。


秋の風はひやりと体温を奪うが青峰のおかげか寒さを感じなかった。



10月とはいえ紫外線もまだ強く、黄瀬が日焼けですぐ肌を赤くするのが気になるらしい青峰は、20分したら屋内に移動してくれる。




ふわぁと腹にあくびをされる。そろそろ起きるつもりらしい。



際どい場所にあくびをされ、更に頭を押し付けられる、ということは、今日はそういうつもりかな。


ゴム、ストック。家にあったっけ。


青峰の髪と首筋を撫でつつ、黄瀬は考えていた。

腕を外した青峰が仰向けになったので、屈んで唇を舐めキスを催促する。



青峰は笑い、口をあけ、舌を出した。



「あ! いた!! 探したんだから、二人共!」



桃井が頑丈な扉を激しく空け、屋上に入ってくる。



自分が来ても、キスを続ける二人に、桃井はため息を吐く。




帝光時代に出会った青峰と黄瀬は高校に入学しても、相変わらずいつも一緒にいる。



どこか冷めている青峰より、更に冷めた内面を持つ黄瀬の存在。




自分は青峰の幼なじみだからという理由で、敵意は向けられてないが、桃井はやはり怖いものを感じた。





「んだよ、さつきー」





「部活!! 今日練習試合!」





「あー面倒くせっ」





「そーっスね」




立ち上がった二人は大きく伸びをした。





「ちょっぴり、おあずけ。残念ス」



「帰ったら思う存分やればいいだけじゃね」





「多分、ゴムラス1なはず」




「生でやりゃいーだろ」





開けっ広げな会話も、桃井は聞き流す。









青峰より先に着替えた黄瀬はロッカールームから出て、ストレッチを始めた。
傍にいた桃井に一言声をかけた。


「桃っちー。今日買ったらコンビニでゴム買ってきてよ」





「え?!」




「さっき邪魔したお礼にサ!」







妖艶に笑む黄瀬は、誰よりも美しかった。






End






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この桐皇黄瀬にとっては、桃ちゃんはライバルなのかもしれません。仲良し桐皇黄桃もいいな…





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