□ふたりは双子












生まれた時からずっと一緒にいる片割れ。

俺の双子の弟、涼太。

二卵性双生児で外見が全く違う。
それにしても似てないとチームメイトは俺と涼太を並べてよく比較して話のネタにしている。


俺は父親似で涼太は母親似。


似ているところをあげるとしたら、身長が高い点と、バスケが好きな所位。

二人して帝光中学のレギュラーをとっているから運動神経がいいところもだな。







「大ちゃん、俺風呂上がったから次どうぞ〜」




「お〜」




遠くにすむ親戚の祝い事で、親は二人とも三日後にしか帰ってこない。



今日の晩飯は部活後ファミレスですませた。


腹もいっぱいになり、帰宅してから、ゴロンと部屋のソファに横になってテレビを見ていた



先に風呂に入った涼太がシャンプーの香りと共にタオルを肩にかけた姿で表れ、俺の目の前にしゃがみ込んだ。



濡れた髪から滴が何滴も、フローリングに落ちる。



「ちゃんと拭いとけよ。ババアうっせーし」



「は〜い。ね、大ちゃん。風呂上がったらアイス食べようよー。明日部活休みだし、今日徹夜でゲームしよ」


「おー」



涼太は馬鹿だ。のほほんとしていて、犬みたいに俺に懐いてくる。



弟に恋愛感情もってて、どうにも抑え切れなくなった俺は、親がいない三日間を使って涼太との仲を進展させようと決めていた。



涼太はミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出しゴクゴクと喉仏を動かし飲んでいる。



片方の耳に光るピアスは、先日俺が空けてやったもので、俺の好きな色ーー青色をファーストピアスにしている。



通常より太いファーストピアスは、穴が安定するまでそれをつけておかねばまた塞がってしまう。

しばらくはあの青色が涼太の耳を飾りたてるのだ。


何故ピアスを空けたのか理由は定かではないが、涼太の事だからどうせくだらない理由だろう。


自分の部屋に戻り、着替えを持って俺は風呂に入った。















風呂上がり、クーラーの効いた部屋で食べるアイスは格別だ。


親がいないし、俺らだけでちょっと贅沢しよう。


ファミレスから出た後、意気揚々と涼太と二人、コンビニでハーゲンダッツの箱を買った。



早速、件のアイスを冷蔵庫から取り出し箱を開け、二個とる。


棚からスプーンを出してやり、涼太に渡してやる。




「アイス、アイス〜っス」



手渡したアイスに目を輝かせて、涼太はアイスを食べはじめた。



俺は風呂上がりということもあり、すぐに小さなカップを空にしてしまった。


涼太はちびちびと食べるタイプだから、俺が食い終わってもまだ、しばらくスプーンを動かしていた。


唇についたアイスが涼太の色気を倍増させている。


舐めてぇ吸い付きてぇ。口に突っ込みてぇ。


もともと燃えたぎっていた感情に油を注がれ、大輝は涼太を押し倒した。

フローリングに涼太の食べかけのアイスが投げ出され零れた。



「わーアイスー! な、何スか大ちゃん、びっくりするじゃん!」


突然の出来事に、状況が飲み込めてない涼太は、またいつものスキンシップかと思ったらしく、次の瞬間には力を抜いて大輝を見つめてきた。


信頼されている目だ。


俺が押し倒しても、怒りもせず、兄の様子を伺っている。



これから行うことは、涼太を傷つけてしまうかもしれない。


嫌われてしまうかもしれない。



一瞬よぎった不安を振り払って、俺は涼太の唇を奪った。




「んーんぅー!」


大きな目を限界まで明けて、びっくりしている涼太の口をこじ開け、暖かな口腔に入る。


歯列の一本一本、形確かめるように舌先を使って舐めあげる。


涼太の逃げる舌を絡みとり、唾液を吸い上げる。


洋画でディープキスを行う男優と女優のように激しく顎を動かし、涼太の味を知る。


涼太は呼吸をしっかり出来ていないようで、息継ぎのため唇を離してやると、はぁはぁと肩を上下させた。


「な、何でこんなことーー!!」


睨みつける目は酸欠の為か潤んでおり、大輝を欲情させた。


「あ? 決まってンじゃん。俺、お前のこと好きなんだよ」



「!!」




内心、こいつに嫌われたら俺どうなるんだろ、と怯える感情があったが、ここに来たらもう引けない。




不安な感情に蓋をして、固まっている涼太を見下ろす。



「大ちゃんが俺を好き…?」



「おう」




「えッ。……ほんとに……? からかってない?」





「からかうわけねーだろーが」










………… 










side 涼太





突然大ちゃんが言った告白に目が点になった。



だって。




だって俺はずっと大ちゃんが好きだったのだから。



生まれる前からお母さんの羊水の中で一緒に育って、今まで傍にいた俺の双子の半身。



小学校の頃は、夕方までザリガニ釣りをしたり、バスケしたり、夏になったらおばあちゃん家で蝉捕りしてスイカを食べた。






春、夏、秋、冬ーー。
朝、昼、夜ーー。







大ちゃんと、過ごした日々が走馬灯のように駆け抜けた。


中学に入学してから背が伸びた大ちゃんは、どんどんかっこよくなって、学校でも告白されて、ラブレターをよく貰っていた。



またラブレター貰ったの? 




また呼び出されたの?




嫉妬で苦しくなって、同じ部活のチームメイトである黒子っちによく愚痴ってた。




ピアスを空けたのだって、大ちゃんと一緒に街を歩いていた時に、信号待ちで向こう側にいた綺麗なOLさんが髪を耳にかけた時見えたピアスに「なんかピアスっていーよな!」ってニカッと笑ったからだ。



大ちゃんはその事を忘れてしまって、「お前何でピアスすんの? 事務所に言われたのか?」って検討違いな事言ってた。




この三日間、父さんも母さんもいないって知った時から凄くドキドキしてたんたよ。


アイス食べてた時に、いきなり押し倒されて、体験したことない激しいキスされて。



俺の事、大ちゃんが好きだなんて……。





嬉しくて、涙腺が壊れ、熱い涙が頬を伝った。


二人は双子。でも、着床して二つに別れた一卵性じゃなくて、もともと偶然同じタイミングで母の卵子の中に入った双子。



一卵性とは違って最初から別れた違う遺伝子の存在だったけど、お母さんのお腹の中から一緒に育ったから、お互いを求めあうのかな……。




「大ちゃん……俺、おれね……。俺も大ちゃんの事がずっと好きだったんだよーー?」







大ちゃんの驚いた顔が、涙で潤む視界に入った。















END






設定

二卵性双生児。
誕生日は青峰誕生日で。苗字も青峰大輝と青峰涼太。
帝光中学でバスケしてて、黄色ちゃんはモデルしてます。
ヒュアな黄ちゃんとお年頃の青。

双子青黄話。シリーズとか出来ればいいけど、需要とかあるんかな……(笑)




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