「おい、誰だ!俺の研究所で何をやっている!?」

「……む、フェルトか」

「なんだ貴様か。……一国の王がどうしてそんな隅で座って情けない顔をしているんだ」

「抜けなくなった」

「は?」

「机の上を漁ってたらいきなり指が嵌まって抜けなくなったのだ」

「……ウェットティッシュの取出口……だと……?」

「うぇ……?」

「いや、いい……お前…バカなのか?賢いのか?どっちなんだ……」

「余は賢いに決まってるだろう!」

「賢い奴はそんな物に指を挟まれたりしないと思うがな」

「うっ……」

「まあ、いい。とりあえず取るぞ」

「?どうやって?」

「燃やせば溶けるだろ」

「なるほ……余まで燃える!却下だ却下!」

「チッ……じゃあこの薬品で溶かすか」

「余の指まで溶けないだろうな…?」

「………………」

「却下」

「じゃあ食え」

「却下」

「虫も殺虫剤も平気なんだから大丈夫じゃないのか?」

「流石に無理じゃないか?」

「……じゃあ放置で」

「え……」

「いつか取れるだろ」

「お前……無責任な…!」

「まあ、指の1本や2本くらい魔導に影響はないから大丈夫なんじゃないか」

「良くない良くない」

「俺には関係無いしな」

「貴様…!」

「うわっ指が挟まったままで腕を振り回すな!危ないだろうが!」

「そもそもフェルトが悪いんじゃないのか、こんな危ない物を放置しておくとは…………あ」

「イテ…」

「取れた」

「……」

「……飛ばして、すまん」

「地味に痛いぞ、これは……」



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