「陛下ー…陛下何処にいるんですかー?……10歳にもなって『遊べ』って絡んできて僕が断ったら拗ねて首刎ねて走り去るって、子どもですか!…あ、子どもだった。クーデター起こしたけど子どもだった。……陛下ー」

「もう畑を燃やしたことは怒りませんから…いや少し怒るかも。とにかく出てきてくださあい……僕がフェルトさんに燃やされるじゃないですかあ!」

「『プッ、子守もまともにできないとは…』って笑いながら爆炎魔法発動ですよ……陛下ー」



****



「…アルケインの馬鹿仮面!余より葡萄を優先するとは…。というかあいつは本当に剣士なのか?使っているのは収穫鋏と鍬しか見たことがないんだが。鍬で敵陣に突っ込むのか?……プッ、なかなか似合うではないか」

「……はあ……。……?あれは…」



****



「……ん?庭の日陰にいるのは…陛下…?いた、陛下!」

「…アルケイン!」

「おや、何をして……!?ちょ、それミミズじゃないですか!汚い!陛下、捨てて、それ捨ててください!」

「……旨そうではないか」

「何処がですか、ほら、捨ててください!」

「……む」

「ええええええ!?陛下、食べました?今ミミズ食べましたよね!?」

「……」

「ペッしてください、陛下ペッ!」

「……む」

「ほら不味いでしょ!ペッしてください!」

「旨い…」

「嘘だ!」

「旨いぞ、アルケイン!なんたる脂のノリ…口のなかで蕩けていく!そのあとに残る甘味は素晴らしい!まるで砂糖菓子のようだ!」

「……」

「ほれ、アルケイン!お前も食べてみろ!」

「…い、嫌だ…」

「ほれ!」

「嫌です…!ピクピクしてるじゃないですか!ヒィィ!」

「名のある剣士がミミズごときで『ヒィィ!』と悲鳴をあげるのか?プッ…情けないな」

「虫を食べるだなんて前代未聞すぎて…」

「じゃあ今見たから大丈夫だ、問題無かろう」

「いやそういう訳じゃ…」

「さあ」

「ぎゃあああああ!!近づくなあああああ!!」スパッ

「……ミミズが一瞬で細切れに……!……素晴らしい鍬捌き!剣士より鍬士だな!」

「う、嬉しくない…!」



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