「おい、いきなり城内に変な植物を持ち込むな」

「変な植物?……ああ、笹ですか」

「ササ?ササとは何だ」

「笹っていうのは、古くから東国に伝わるこの時期に必要な植物なんですよ」

「必要なのか?」

「何でも、願いが叶うとか」

「ほほう!願いが叶う!」

「らしいです」

「どうするのだ?どうするのだ?」

「ちょっと落ち着いてください!陛下が鬼神に見えるんですが…!」

「教えろ!アルケインだけが知っているのは何だか悔しい!」

「(どうしてそんなに必死なんですか……)この短冊に願い事を書くんです」

「それだけか…?」

「それだけです」

「本当にそれだけか…?」

「それだけです」

「簡単だな、よし早速書こう」

「凄くキラキラしてますね、陛下……」

「できた……!」

「何て書いたんですか?」

「『大陸奪還』『虫が食べたい』。……アルケイン、貴様は何を書いたんだ?」

「『大陸全土葡萄畑』」

「うわあ……」

「何ですかその反応」

「いや……アルケインらしいな……うん、頑張ればいいよ」

「……あ、はい、頑張ります」

「ところでもう一枚書いてたのはどうした?」

「な、ななな何のことでしょう!」

「焦るな隠すな、余は何でもお見通しだ」

「内緒です!ささ、笹につけましょう!」

「……。そうだな(笹につければわかるだろうに)」

「よし、じゃあ僕は葡萄畑の様子を見てきますね!」

「……逃げ足の早い奴。ん、どれどれ……、……!アルケインの奴……」



『ネフィリム様がずっと幸せでありますように』



 



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