トキオ兄さんの悩み相談室3(キヨヒカ編)
◆ヒカルサイド
「俺、時々不安になるんだ……」
「何に?」
「いつまでこうしていられるかな……なんて、考えるとさ」
「キヨタカ隊長と?」
「うん。……あいつ、長男じゃん。いずれ家継がなきゃならないし、結婚とかもしなきゃならないし……」
「隊長がヒカルを捨てるとか考えられないけどねぇ」
「うん。居たいと言ったら居ていいって言うと思う。けど……それがキヨタカの為にならない事くらいわかってる」
「おやおや。ずいぶん自分を卑下するんだな」
「お荷物な自覚はしてるから」
「キヨタカ隊長にとって、ヒカルがどんなに大切な存在か……解ってないわけじゃないだろ?」
「愛されてるとは思う。だけど、それだけで幸せになれるほど世間は甘くないから」
「うん。甘くはないよねぇ」
「……」
「だけど、どんな幸せだってそうだよ。……ただで手に入るようなものなんて何もない。欲しけりゃ、自分で闘わなきゃ。逃げてばかりいたって解決しないよ」
「う……」
「別れても、一緒に居ても苦しむと言うのなら。自分はどっちを選ぶか覚悟を決めろよ」
「……」
「そして、キヨタカを選ぶのなら、いつまでも逃げてばかりいないでちゃんと家とも対峙してケジメつけて来い」
「そう……だよな」
「もちろん、それで連れ戻されそうになったり、妨害されるようなことがあったら、俺たちも全力で協力するよ。他のみんなもきっとそう思ってる。それがJ部隊だろ」
「ごめん……。俺……逃げてばかりで」
「いいんだよ。問題なんてのは気付いた時点で半分は解決したようなもんだから」
「俺……。ちゃんとキヨタカに言うよ。どんなに苦しい目にあっても一緒に居たいって。それでちゃんと闘うって」
「おお、いいね。…ついでに一緒に暮らしちまえ。負担になりたくないとか負い目で暮らすの避けてたんだろ」
「……トキオって何でそこまで……?」
「お兄さんはなんでもお見通しさ」
「……ホント……ありがとうな」
「いえいえ、どういたしまして。頑張れよ」
「ああ」
◆キヨタカサイド
「ヒカルがまた思い悩んでいるようでな」
「またって……?」
「前回はタマキが戻ってきた時……かなりピリピリしていたからなぁ」
「で、また今回もまたそうなんですか?」
「ああ…。タマキの記憶も戻って、ヒカルが無事生還して、ナイツの事件が終わって……。しばらくそんな悩み吹っ飛んでたんだろうな。…落ち着いてきてまた再開したというか」
「原因は分かっているんですか?」
「おおかた、俺の前途と自分の存在について…だろ」
「分かってるなら、言ってやればいいのに。そんなことで悩む必要ないって」
「言ってる。前から一緒に住もうと言ってるし、愛してるってのは言葉でも態度でも嫌というほど示しているつもりだが。なんならここで実践しようか?」
「御免被ります」
「ふっ……。あとは…ヒカルが決めるしかないと思ってる。……だから、俺は待ってるんだ」
「……まあ、それもわからないでもないですが。もう一押し」
「一押し?」
「闘うのはヒカルだけでなく隊長も一緒だってことを示すような。一歩踏み出す勇気みたいなものを」
「そうか……。それは……気付かなかった。じゃあ、今度宮家の前で公言しようか。ヒカルは渡さないって」
「いいですねぇ。それ」
「その代わり、ダメだった時は只では済まないが」
「まあ、その時はその時ってことで。俺たちも協力しますよ」
「……すまないな。……ありがとう」
「いえいえどういたしまして。お二人の幸せを祈ってますよ」
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