トキオ兄さんの悩み相談室2(カゲタマ編)
◆タマキサイド
「カゲミツの行動に困ってるというか……」
「例えば?」
「まあ、最初はドアを開けてくれたり、エレベーターのドア押さえてくれたりだったんだけど……」
「うん。そういうのやってくれそうなタイプだよな」
「で、そのうち、一緒に歩く時に道路側に立つとか、椅子を引いたりとか、階段で手を差し出したりとか……」
「あー。なる……エスコートされてるわけだ」
「大事にされてるってのはわかるんだけど、なんつうか……それ男にする事か? みたいなのが……ひっかかるというか……」
「タマキはカゲミツの恋人だからなぁ……」
「こ、恋人って……。でも、俺は女じゃないし」
「されても戸惑う?」
「うん……」
「なんつうの? 染み付いた習性みたいなもんじゃない? 華族様のさ。別に女扱いしているわけじゃないと思うよ。守りたいだけだよ」
「そうか?」
「そうそう」
「でもやっぱり、引っかかる。……俺、別にカゲミツに守ってもらうのが嫌なわけじゃないぞ。でも、一方的にされるのがいやなんだ。……俺だって守りたい。対等でいたいんだ」
「じゃ、タマキもすれば?」
「エスコートをか? ……いや、そもそもそれ、男同士でするのやっぱおかしいぞ。男にそんなことしてるの見たことないぞ」
「あはは…そうだよねぇ」
「なにが『あはは』だよ……」
「でもまあ、カゲミツがしたいならやらせてやれば?」
「えー」
「タチネコだってそうやって決めてるんじゃないの?」
「ト、トキオ!……っ!」
「見える部分で守る事が全てじゃないよ。タマキはこう…さぁ。メンタル面で支えているからいいんだと思うよ」
「そうかな…」
「そうそう」
「ん……なんとなくわかった。ありがとな、トキオ」
「いえいえ、どういたしまして」
◆カゲミツサイド
「俺がタマキに、過度に接してるって…」
「それは…。今にはじまったことじゃないと思うけどね」
「なんか女の子扱いしてるって…」
「タマキに言われたのか?」
「ううん。ヒカルにからかわれた。『タマキはお前のお姫様か』とか」
「ああ、なる…」
「そんなふうに見える?」
「見える見える、王子様v」
「タ、タマキは嫌がってるかな?」
「さあ…どうだろうねぇ。……嫌なら嫌って言うんじゃないか?」
「ならいいんだけど……」
「まあ、そんなに気にするな」
「俺……自分の非力さが嫌なんだ」
「うん?」
「……なんかさ、戦闘ではいつもタマキに守られてばかりだろ? せめて日常では自分が守りたくてさ」
「お前は肉体派じゃなくて、頭脳派だからそんでいいんじゃない?」
「でも……」
「お前たち諜報が後ろで支えてくれるから、俺たちが前線で頑張れるんだよ。もっと自分の実力に自身持てよ。……負い目で優しく接してもらっても嬉しくないよ。そういうのはだんだん伝わってしまうもんだ」
「そんなつもりじゃなく、タマキにはいつも優しく接したい」
「じゃあ、もっと自信を持って堂々と接すればいいよ。からかわれても気にせずに」
「うん。……そうだよな。……俺もちょっと必死だったところあるかも。……もうちょっと力抜いてみる。……ありがとな、トキオ」
「いえいえどういたしまして」
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