トキオ兄さんの悩み相談室1(アラタマ編)
◆アラタサイド
「タマキちゃんが、僕を子ども扱いばかりするんだ」
「……て、お前事実、子供じゃん」
「でも! タマキちゃんより戦闘能力はあるし、考え方だってあんな子供っぽくないよ」
「いや…まあ、そういう面もあるかもしれないけど」
「それになにより、僕が子ども扱いされたくないって…解ってくれないのが嫌なんだ。なにより、タマキちゃんの前では男らしくありたいのに」
「うーん。そんな急がなくたって……。あと数年もすればいやでも大人になるんだから。もっと今を楽しめば? 子供時代なんて子供じゃないと味わえないよ」
「この数年を子供として過ごすより、タマキちゃんの男でありたい」
「ほんの数年でも?」
「どんな数年でも! タマキちゃんと過ごす全ての時間を。……数年だって無駄には出来ないんだからね」
「うーん。そこまで思ってるんなら俺には何もいえないなあ。……でも、すぐ『子ども扱いする』って言うのも子供っぽいから止めれば?」
「う……」
「態度で示していたら、いずれ解ってくれると思うよ」
「そうかな?」
「そうそう。とりあえず、次回のデートは我を張らずに自然な感じで男っぽく振舞ってみるといいよ」
「うん、そうしてみる! ありがとう、リーダー」
「いえいえ、どういたしまして」
◆タマキサイド
「アラタが、俺が遊園地や動物園連れて行ってもぜんぜん喜ばないんだ。『すぐ、子ども扱いする』って怒るばっかで」
「いや、だから……子ども扱いするから怒ってるんだろ」
「どうして!? トキオと一緒に遊園地行った時は、もっと子供らしかったぞ。トキオに奢ってもらえてすごく喜んでいたじゃないか」
「そりゃ…。俺はただのお兄さんだもん」
「?」
「お前には、ちゃんと男として見てもらいたいんだよ……」
「………そんなこと言ったって、まだ子供じゃないか。なのに背伸びして大人のマネなんてすることないのに」
「それをアラタが選んだ事なら、尊重してやったら?」
「俺……、アラタに無理させてるのか…」
「男ってそうやって成長するもんじゃないかな…。守りたいものがあって、目指すものがあって……そういうのがあるってのは幸せだと思うよ。決して楽なことじゃないけど、無理してるわけじゃないと思うよ」
「……」
「今度動物園に行く時は、子ども扱いばかりせず、もっとエスコートさせてやれば?」
「うん。俺、必要以上に過保護になりすぎていたかも。…アラタのやり方に任せてみる」
「うん、そうすればアラタももっと自然に振舞えるようになるかもな」
「サンキュ、トキオ」
「いえいえ、どういたしまして」
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