CROSS DELUSION
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どこでもいっしょ
○月×日
ミーティングルームのロフトの整理をしていたら、昔のゲームのソフトが出てきた。
動物の育成するゲームだ。
ちょうど、2機あったので、タマキとそれぞれやることになった。

○月△日
とりあえず、ネコから順に攻略する。
会話を始めると、変な質問してきたり、それに答えると変なタイミングでその単語使ったり。
「男同士の恋愛に興味あるかニャ?」とか聞いてきたり、素直に答えたら「カゲミツの男好き」とか言われたり。
でも、好きな芸能人誰と聞かれて「タマキ」なんて答えたら、「タマキとカゲミツが恋人同士になれるようにお願いするニャ」とか可愛いこと言ったり。
結構ハマる。

○月○日
タマキにどれくらい進んでるか聞いたら、あっちもいろんな会話が弾んできて楽しいそうだ。互の機械で名刺交換が出来るらしいので、今度持ってくることになった。

○月□日
タマキと名刺交換。

○月▲日
名刺交換すると、格段に語彙が増えることに気づいた。
タマキの覚えさせた単語を交えて会話してきたりするらしい。
「うふふ、こっそり教えるけど、タマキは神戸牛にジュレぽんを付けるのが好きニャ」
そうなのか?
いや、ほんとかどうかわからないにしても、俺の単語じゃないのは確かだ。
最近の自分の会話を思い返して青ざめる。
「好きな芸能人は?」
「好きな食べ物は?」
とか適当になんでも「タマキ」って答えてたぞ、俺。
しかも、最近の質問には「好きなオナニーネタは?」なんてのもあったよな。
ヤバい。
ヤバすぎる。

×月○日
朝一に、タマキに、
「違うからな、あれ。その、うちの中トロ(ペットの名前)の言うことは。嘘だから!!!」
先に弁明しておくことにした。
俺は、意識のある時に、タマキをネタにすることなんて断じてない。そんな風に穢したくないんだ。
それをしないために、日々盗聴や、海外無修正のダウンロードなんかに明け暮れてるわけで…。
「変な質問されていろいろ適当に答えてるだけだから」
あれやこれや、あたふたしながら言い訳してたら、タマキが悲しそうな顔をした。
「…そっか、でも俺は本当のことしか言ってないから」
あれ。
俺、なんか失敗した…か。



任務を終えて、バンに戻る。
何気なく開いた、ポケステに映し出される一言。

「じつはニャ。タマキはニャ、カゲミツのことが大好きニャ〜」



******

(俺、とんでもない間違いをしちまった…)


「おい! タマキもう帰ったか?」
カゲミツが息を切らしながらバンプアップに行った時には、タマキはもう帰ったあとだった。
「カゲミツ君、タマキちゃんに何したの」
アラタが剣呑な気配を漂わせている。
「いや、俺、誤解を解くつもりが、誤解させて…」
「だったら早く誤解を解くべきだよ」
ナオユキやユウトも心配そうに言う。
「ああ、そうだよな。俺、タマキんち行ってくる!」

そのまま店を飛び出して、地下鉄に向かう。
走って電車に飛び乗り、駅からまたタマキの家まで掛けていく。
早く本当のことを言わなければ。
ゲームでのセリフ全てを否定するつもりはなかった。
ただ、変に思われたくなかった。
けど、意識下ではともかく、夢や無意識下ではどうしようもなくコントロール出来ない自分がいるのは紛れもなく事実で。
全部肯定してしまえばよかったのに。
一つをごまかしたくて全部否定してしまうなんて。
なんてバカだ。


タマキのマンションにたどり着くと、インターホンを鳴らすなり、弁明を始める。
「タマキ! 誤解なんだ。あれは…そういう意味じゃなくて」
「じゃあ、どういう意味なんだよ。俺ひとり、お前の言うことに喜んでバカみたいだ…」
「ゲームのセリフじゃなくて、俺の生の言葉を…聞いてくれ!」
しばらくしてカタッ…とドアに触れる音がした。
ドアは開かなかったが、人の気配がする扉越しに話しかける。
「俺、タマキが好きだ!」
真っ先に伝えたいことを言う。
「だから、好きなモノとか事とか、何聞かれてもタマキって答えてたし、ズリネタはって聞かれても思わずタマキって答えてしまうほどで…」
ガタンとドアにぶつかる音がする。
「でも、ホントはそこまでする度胸もない…から…」
ドアが開いた。
「カゲミツ…続きは中で聞かせて」
真っ赤になったタマキが顔を覗かせた。















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