陽だまりの光景
昔──。
かなり小さい頃の思い出だ。
父に連れられて、父の旧友宅へ遊びに行った事がある。
「その子がタマキ君? 大きくなったなあ」
「署長…っと、すみません。今は本部長ですよね……本部長が知ってるこいつはほんの赤ん坊でしたからね」
「それも、写真だけのな。……お前に似て、活発な感じだな」
「……いやもう。好奇心旺盛で。……タマキ、あんまりあっちこっち行くんじゃない。……すみません」
その部屋には、当主のさまざまな賞状や盾、写真などが飾られており、とても興味をそそられた。
中には父と一緒に写っている写真などもあり、父の活躍を知ることが出来てすごく嬉しかったのを憶えている。
「いや。……ずっとここで大人しくしていろというほうが、無理だ。……タマキ君。よかったら私の息子と遊んでくるか」
「……本部長の息子って……確かもう…」
「26だ。…遊び相手には難しいかな」
「構ってもらえれば喜ぶと思いますが…」
「うーん。……あ、じゃあ。あいつの息子にまかそう」
「あいつって……。──さんも来てるんですか?」
「ああ、来てる。懐かしい連中はたいがい呼んだからな。……タマキ君、庭に面したサンルームわかるかな?」
「うん」
「そこに行ってごらん。みんなで遊べると思うから」
「はいっ」
「いい返事だ」
サンルームは、ちょっとした温室状態で、蘭や観賞植物であふれていた。
葉の向こうから言い争うような声が聞こえてきて、そちらに足を運ぶ。
「お前ってほんと生意気だな」
「あなたに鍛えられるとそうなりますよ」
「そういう減らず口をたたく奴には……」
年上の男の人が、もう一人の男の人に掴みかかるところを見て、思わず叫んだ。
「喧嘩はダメだよ!」
驚いたように、こちらを見た二人。
「……」
「……」
なんだか気まずそうに手を離すと、年上の男の人は、頭を掻きながら言った。
「喧嘩してるわけじゃなかったんだ。ちょっとふざけてただけで…」
「でも、暴力はダメでしょ」
「……いや、暴力でもなくて……スキンシップ……か?」
と、相手の少年に助けを請うよう視線を送る。
「それ以上は墓穴を掘る気もしますが…。……ところで君は誰?」
「俺は、──タマキ。こっちにきたらおじさんの息子さんが遊んでくれるって……」
「へえ、君が──さんの息子か」
年上の男が言うと、少年が興味ありげに訊いた。
「知ってるの?」
「親父の話によく出てくる。射撃大会も一緒出たとか。……写真もあったはずだ」
「うん。俺もさっき上で見つけたよ。その写真」
「お前の父さん、すごい腕前だよな」
「うん。…俺も大きくなったら、お父さんみたいな警官になるんだ!」
「いいねえ。目をキラキラさせて。キヨタカ……お前、そんな台詞言えるか?」
「そんな…って何ですか。普通になるつもりではいますよ」
「お兄さんも警官になるの?」
「まあ、そのつもりだ」
「ちなみに俺はとっくに警官だぞ」
「すごい。みんな、カッコイイ」
「よし、そうと決まれば、ドロケイでもすっか?」
「なんでそうなるんです」
「カッコイイ警官になり、且つ遊べるから」
「2対1に別れるのはちょっと、面白みが…」
「じゃあ、あいつも連れて来いよ。侯爵だか伯爵のボンボンも来てただろ……」
「マジで誘うんですか?」
「楽しそう〜」
「……という事があったことを思い出しました」
J部隊の面々が、警視総監宅にお呼ばれして。
サンルーム踏み入れた瞬間思い浮かんだ、懐かしい光景。
あの時どんな遊びをしたのかは、もう定かではないけれど、すごく楽しく過ごしたことだけは今も覚えている。
「…言われて思い出したよ。俺も…」
横で頷く隊長。
「スキンシップとか懐かしいよな」
口を挟むマスター。
「それって…?」
「教えてやろうか?」
「わー。やめろ。絶対ロクなことじゃねーから」
キヨタカが行動を起こすその前に、カゲミツが割り込んでタマキの肩を抱いて引き寄せた。
「ところであの時来ていたボンボンの子がカゲミツじゃなかったのか?」
マスターの問いかけに、
「ああ、結局誘いに行っても来なかったんですよ、こいつ。…せっかくタマキと遊べるチャンスだったのに残念だな」
とキヨタカが答える。
「そ、そんなこと知るかよっ」
カゲミツは悔しそうにそう言った。
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謎の過去話。
タマキのお父さんは地方の警察(千葉とか神奈川とか)というイメージで、警視総監になるまえのマスパパが出向で署長してたとかそういうイメージ。タマキパパは射撃の腕がよくて上役の覚えも良かったし、なんか一緒に仕事する機会があったか、なんか事件のときに総監を助けたかそんなん。たぶん。キヨパパもなかよし、そんでキヨパパとカゲパパは大学が一緒だったとかで仲が良い。
マスター26、キヨタカ16、タマキ9、カゲミツ7…?
ちなみにこの話の現代の世界はキヨタマエンド以外の時系列になります(警視総監生きてるし)
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