君と生きる証し
(DC2)16話
病院で解散後、家に帰るまで、始終無言のタマキ。
部屋にたどり着くなり、カナエに詰め寄った。
「どんなんだよ……。見せろよ」
「えっ……?」
答えるまもなく、ソファーに座らされる。
「傷っ…」
そう言いながら、荒々しくボタンを外していった。
あらわになった胸元を見て、タマキが息を呑んだ。
「……こんな……」
胸元に、まだ真新しい傷があった。
「痛いか?」
「ううん、ちょっと傷がひきつれる程度だよ」
タマキがそっとその傷に手を触れる。
「人に爆弾を仕掛けるなんて……こんな酷いことない」
「だけど、俺はそのおかげで、J部隊(ここ)に戻って来れたんだから……」
それから、タマキを見詰めながら言った。
「君のもとに」
それから、胸元に置かれたタマキの手を握りしめた。
「胸の爆弾が怖くないといったら嘘になる。……戦闘で胸を強打した時には別の意味で冷や汗が流れたから……。だけど、君のもとに帰れるのなら、どんなことだって……堪えられるよ、堪えなきゃと思ってる……」
そこで、カナエは少し声を詰まらせた。
苦痛に眉を顰めて。
……タマキにもその理由(わけ)は、分かった。
レイの事を思っているんだろう。
アマネの弾で負傷した彼は、まだ意識が戻らない。
彼をあんな目にあわせても。
それでも、こちらを選んだカナエに。
タマキは胸が痛くなった。
それと同時に熱くもなった。
「…これは、俺が君と生きる証しだ」
「カナエっ……」
タマキはたまらなくなってカナエを抱きしめた。
もう離したくない。
一緒にいたい。
今まで抑えていた感情が、塞きを切るように流れ出す。
しがみついて、それから口付ける。
「んっ………タマキく……」
驚くカナエをソファーに押し倒しながら、さらに激しく口腔を貪った。
「お前に……。もっと実感させてやるよ……」
「なに…を……?」
「俺との生を……」
カナエに感じて欲しい。
自分の事。
自分と生きる事を。
その体に刻み付けてやりたい。
そんな衝動に駆られる。
「……タマキ…君…っ………っあ……」
カナエの服を剥ぎ取って、体のいたるところにキスを落とす。
胸の傷にも優しく。
それと、かつてタマキ自身がつけた傷跡にも──。
抱きしめ、くまなく愛撫していく。
体の奥までじっくりと。
それから、カナエの中に自分を埋め込んでいく。
「…くっ……」
「……あぁ…っ………」
後は、もう夢中で突き動かした。
快感が体中に広がっていく。
互いの快感が限界まで高まり──
同時に果てた。
息が上がったまま、カナエを見下ろしながら、タマキが口を開いた。
「なあ……俺を……実感した?」
「ふ……、すごく……したよ」
「よかった…」
そういいながら、カナエの胸に倒れこむ。
彼の胸の鼓動が耳に響く。
それがすごく心地よかった。
一緒に生きてると…思えた。
「なあ……」
「何?」
「今度は、俺に……お前を感じさせて…くれないか」
タマキが、真っ赤になりながら口にすると、
「いいよ」
と、カナエ微笑みながら答え──、体を逆転させた。
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