REVERSE LOVE
「や、だ…、やめっ……」
「怖くない怖くない」
そういいながらタマキが後ろに指を這わせていく。
先ほど放った液で濡れたタマキの指は、恐ろしく滑らかに後ろの穴に入り込んでくる。
痛くはない。だけど、何かが自分の中に浸入してくるという違和感は拭い去れなかった。
「マジっ……無理っ!」
「どうして? ……俺が嫌い?」
そう言われて顔を横に振る。
「ちがっ……」
「じゃあ……痛いのが怖い?」
「痛いというより……。されることより…したいだけ…だ…」
自分が守りたい。自分が征服したい。手に入れたい。
自分の中にそんな感情があったことに気付く。
そしてそれを裏返せば、されることに対して、他人に身体を暴かれることへの恐怖や、自分の中を侵される屈辱感や敗北感、無力感というようなものを感じていたことに……。
気付かざるを得なかった。
俺は自分が嫌がるようなことを、人に求めてたってことか。
「ごめん…」
「何が?」
「したいけど…されるのは嫌とか…」
そう言うとタマキがフッと笑った。
「馬鹿だな……。嫌なことを無理やりする必要なんかない。……俺こそごめん」
「タマキ…」
「だけど……。カゲミツが好きだからやりたいって気持ちは本当だよ」
そういいながら、タマキが俺の上を跨いできた。
そして顔を覗き込んでくる。
「俺はされるほうも好きだし……。相手を身体の中で感じるのは、すごく嬉しいよ」
「………」
そのまま、顔が近づけられられ口づけされる。
「だから、……させて。カゲミツのを挿れさせて……」
キャパ以上の快感を受けた事とか。
自分の中のいろんな感情に気付かされたこと。
タマキに申し訳ないやら嬉しいやらごちゃごちゃの感情で。
3日間寝込んだ。
そりゃ……だれも原因に気付くわけないよな。
犯られて寝込むならともかく、犯って寝込むなんて。
ヒカルが気付かないのも当然だ。
ただ、寝込んでいる間にわかったことがある。
俺やっぱり、タマキが凄く好きだ。
だから──。
(今なら、出来るかもしれない)
《END》
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