CROSS DELUSION
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綺麗なお兄さんは好きですか?
(DC2トキオグッドエンド後)


「タマキ!お湯が沸騰してるよ」
「今、だし取るよ」
「タマキ!大根いれなきゃ」
「まだ、切れてない!」
「タマキ、サラダはトマトとキュウリとレタスでいい?」
「洗って、そこ置いて」
「タマキ、なんか焦げてるよ」
「目玉焼き!」


腹をすかせてうろちょろする子供を尻目に、必死で朝食を用意する。

トキオは今日は、出かけていていない。
(支援団体に会ったり、寄付を求めて企業回りしたり。資金ぐりはいつも大変だ)


これくらい任せておけとは言ったものの、普段トキオに任せっぱなしで、いざ作ろうとしても段取りがなかなかうまくいかない。


「ご飯まだ〜?」
「もうできるから、静かに待て!」
「はーい」


かくして…
大根の生煮えの味噌汁。
きゅうりの繋がったサラダ。
黒焦げの目玉焼き…などが食卓に並ぶことになる。

「タマキって料理下手くそだな」
「文句を言うなら食うな!」
「いやだよ〜」

憎まれ口を叩きながらも必死に食べる子供たちは可愛いけど。


「ご馳走様!」
「食器下げたら、出掛ける用意しろよ」
「はーい」


バタバタと身支度をして、学校へ出かける子供達。

子供達が出かけてようやく一息つく。

「はー、やれやれだよ。まったく」

普段から、もっとしっかり家事をこなそうと心から思う。

もっともトキオが帰ってくると、そんなことする間もなく、気がついたらすべて終わってたりするのだが。




* * *




「今日はごくろーさん! 大変だったろ?」

「……」

「タマキ?」

ソファに座って俯きながら、ため息をつくタマキ。

「自分の不甲斐なさに落ち込んでるところだ……」

「そんなの、全然大丈夫だよ〜」

そう言いながらトキオもタマキの隣に腰を掛ける。

「どこがだよ」

「子供達はタマキを慕ってくれてるし、ホームが明るくなった」

「でも……」

「失敗は成功のもとって言うしね。何度も試行錯誤をつんでうまくなるさ」

「ん……」

それでもまだ、浮上出来ないタマキを見てトキオが、ポンポンと肩を叩いた。

「はいはい。お兄さんがこうして慰めてあげるから、元気出して」

そう言いながら微笑んだら、タマキの顔がさらに雲って不機嫌な形相になる。

「えっ…。ダメ?」

「トキオ……それ本気で言ってる?」

「もちろん本気だよ」

「……誰が、お兄さんだよ。俺は、お兄さんなんかに慰めてもらいたくないよ」

「え?」

「ちゃんと、恋人に慰めてもらいたい」

そう言ってから、自分の言葉の含みを自覚して、タマキは顔を赤らめた。

「あ……」

言われたトキオも意図するところを察して顔を赤らめる。

(まいったな。よいお兄さんを演じる期間が長すぎて、自制するのがすっかりくせになってるよ…)

そんなことを思いながら苦笑する。

「わかったよ、ダーリン」

そう言いながら、肩を抱き寄せると耳元に囁いた。

「恋人が、しっかり慰めてやるよ」

その言葉にますます顔を赤らめながら、恥ずかしそうに見上げるタマキに。

あとは、心の赴くままに熱い口づけを落とした。


(END)

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