お出かけしましょう
(カナタマ)
「カナエ。明日のオフはどこに行きたい?」
パジャマに着替えたタマキが、ベッドの上に寝転びながら顔を上げる。
「タマキ君とならどこへでも」
風呂上りのカナエが、髪の毛を拭きながらベッドのふちに腰を掛けながら答えた。
「それじゃあ答えになってないじゃないか」
「……と言われても、俺ってスラムからあまり出たことないから、定番のデートコースとか知らないんだよね」
もちろん買い物や映画など、一人で行くことはあったが、二人で出かけるデート感覚はよくわからない。
「遊園地とか、映画とか、ショッピングとか、中華街とか、博物館とか、美術館とか、水族館とか、ドライブとか旅行とか…」
タマキが思いつく限りのデートコースを挙げていく。
「そうそう、そういうの。……タマキ君、いっぱい体験してそうだね」
「ち、違うぞ。たいてい友達と連れだって行くばっかりデートじゃないぞ…」
「じゃあ、これから一緒に体験出来たらいいね」
「うん」
それから勢いよく起き上がって、カナエのほうを向く。
「よしっ! じゃあ全部やろう!」
「全部!? それは無理じゃ……」
「もちろん一日で回るのは到底無理だけど。これからオフ毎に一つずつ行けば、そのうち全部体験できるぞ」
「いいね」
「時間はいっぱいあるからな」
「うん」
「これからはずっと一緒だから」
「タマキ君…」
ふわりと微笑んで、カナエがタマキの肩に腕を回す。
「うれしいよ……君とこんな風に一緒にすごせて」
「……俺も」
そう言いながら、タマキもカナエの背に腕を回す。
「でもね……、ひとまずはベッドで一緒に過ごさない?」
そう言いながら顔を近づけていく。
「いいよ……」
タマキが答え終わらないうちに唇を塞ぎ、そのままその身を沈めていった。
(END)
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