星に願いを
DC2カゲ→タマ(タマキ記憶戻った直後)
任務の帰りで、繁華街をあるくことになった。
他のみんなは先に帰っていたので、タマキと一緒に並んで歩く。
数メートル先に人だかりが出来ていた。
なんだろうと見てみると、店先で、短冊などを飾り占めた笹が飾られている。
「只今、七夕キャンペーン実施中。ビールの試飲と、短冊サービスしています〜」
そんな声が聞こえる。
「な、ちょっと見て行かないか?」
タマキを誘う。
「うん」
ビールと短冊と鉛筆を受け取って、まずは乾杯した。
「あ、おいしい」
「ほんとだ」
それから、短冊に願い事を書く。
「タマキの願いは?」
出来るだけさりげなく聞く。無理には見まい。
「…あ、『いつか、2人がいつまでも一緒にいられますように』って」
「2人…」
「あ、織姫と彦星が…。年に一度しか会えないのはかわいそうだから…さ」
「あ、ああ。そう…だな」
「カゲミツは?」
「『いつもタマキと一緒にいられますように』…」
「…ばかだな…。いつも一緒だろ…」
「…うん」
「……」
「……帰ろっか」
「……」
互いの心の擦れ違いを感じて切なくなった。
タマキの本当の願いも解ってしまったから…。
さっきはあんなに美味かったビールの味が、ほろ苦く感じられた。
2010/07/08
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