Sweet Mission
(DC1 カゲタマ)
「今回は潜入調査だ」
キヨタカがDVDを差し込んで、説明を始めた。
「何処にですか?」
タマキが訊ねる。
「カジノだ」
「カジノ…ですか?」
「どうやら、ここにナイツオブラウンドが出入りしているらしい。その痕跡をつかんでもらいたい」
「メンバーは?」
「タマキとカゲミツだ」
「お、俺とタマキだけ?」
カゲミツが、顔を赤らめながら、タマキのほうを様子見る。
タマキはよろしくな、と言うように微笑んだ。
「えー、カゲミツ君だけ? ずるい。僕も行きたい」
アラタが不満そうに言う。
「…アラタ。お前、未成年だから無理だろ」
ヒカルが突っ込む。
「潜入捜査に大勢で行くわけにもいかないからな。二人くらいがちょうどいい。外国人がたくさん出入りするカジノは、カゲミツのほうが向いている」
確かにカゲミツの容姿は西洋人といるほうが、違和感がない。
「それに、こういうところに行くのはカップルのほうが目立たないからな」
面白そうに微笑みながら、キヨタカが続けた。
「カップル?」
「ど、どうして俺たちがカップルって…」
焦るカゲミツ。
カゲミツが、退院後にタマキと付き合うようになったのは周知の事実なのだが、本人たちは気付いてない。
「いや、カゲミツ。突っ込むところはそこじゃないと思う…。どういう意味ですか?」
冷静に訊ねるタマキ。
「タマキは女装してもらう」
「ええー」
それを聞いて、今度は焦るタマキ。
「成人した人間で、女装出来そうなのはタマキしかいない。アラタの女装も捨てがたいんだがあと4、5年は必要だし、ナオユキは…」
言葉を濁したキヨタカに、ナオユキが申し訳なさそうに言う。
「マッチョですみません」
「いや、いいんだ。そんなわけでタマキ、頼んだぞ」
「はい」
引きつりながら、タマキが頷いた。
* * *
帝都には、国営のカジノがある。
そこは、国内外のVIPが集まる社交場になっている。
ここにナイツオブラウンドが出没するということは、どこかから資金を得ているのではないかというのが上の考えだ。
今回はそのつながりを調べるのが目的なので、出来るだけ穏便に行動して、彼らの行動を見守りたい。
果たして、今夜ナイツオブラウンドは現れるのだろうか?
カゲミツは久しぶりのタキシードに身を包み、緊張しながら、タマキの腰に手を添えてエスコートした。
黒いハイネックのロングドレスを身にまとったタマキは、すらっとした長身の美人に見える。ヘアスタイルはショートのままで黒いフェザーのヘッドドレスで片側だけアップしている。スリットから覗く足が艶めかしい。
「誰だよ、こんな服調達したの…」
目のやり場に困りながら、思わずぼやく。
「隊長だが。…嫌か」
困ったように答えるタマキをみて、あわてて答える。
「嫌じゃない、その反対。良すぎて困ってる」
「馬鹿」
「任務に集中できないくらいだ」
「じゃ、さっさと終了させてから…。なっ」
と目くばせするタマキに思わずドキリとする。
「な…」
「カゲミツ、いたぞ…あそこ」
休憩スペースのソファーでスコッチを飲みながらなにか話しているのは、アマネとオミと…二人の男性。
「あれは…。○×工業の社長じゃないかな。…いろんなものを手広く扱っているらしいから、おおかた武器の商談だろう」
「一緒にいる老人は?」
「たぶん陸軍関係…。軍需企業に天下りしたってやつだろう」
「軍と企業とアマネか…いやなつながりだな…」
タマキが彼らの関係について思考を巡らせていると、カゲミツが手を握ってきた。
「今日はここまでで十分だ。見つからないうちに行くぞ」
「カゲミツ?」
そのまま身をひるがえすと、人ごみに紛れる。
カジノフロアを抜けて、ホテルフロアへ入る。
そして、そのままホテルの一室へ。
「ここは…?」
部屋を見回しながらタマキが訊ねる。
「今日の宿泊先。宿泊客のほうが怪しまれないからって…」
「そ、そうなのか」
「そんなことより…もう限界。あんなこと言われたら堪らなくなるだろ」
そう言いながら、タマキの背中から腕を回す。
「あ…」
「さっさと終了させてから…って。ウインクなんかされて…。もう任務は終わったんだから…」
ドレスをたくし上げられ、下着を下ろす手の感触に、肌が泡立つ。
「ちょ、カゲミツ。性急すぎ…」
「タマキ…」
ベッドまでは、ほんの3メートルだというのに…。その距離さえ我慢できない。
ストッキングとパンティーが足元に落ちる。カゲミツに至っては、前を下ろしただけだ。
「……あっ…」
玄関の通路の壁に手を付きながら、カゲミツを受け入れる。十分に慣らさずに、先走りを塗り込めるだけで進めてくるそれはきつかった。
だけど、タマキは、そんなカゲミツを愛おしく思った。こんな風にがむしゃらに求められるのが嬉しい。
「くっ…」
カゲミツは、痛みで強張る身体を抱きしめながら、タマキ自身を優しく扱く。じんわりと広がる快感に、強張った体がすこしずつほぐれていった。それを狙うように侵入してくるカゲミツを少しずつ飲みこんでいく。
「あぁっ…」
身体全体がカゲミツで満たされる。圧迫感で苦しい。
なのに、この後訪れる快感を思うと、腰を揺らしそうになる。
「早くっ……」
「ああ…」
掠れた吐息が、耳を掠める。それまでも腰にくる。
カゲミツが抽挿を始めると、それまでとは比べものにならないくらいの快感が押し寄せた。内壁を擦られ、内臓をかき回し、そしてそのまま引きずり出されるような感覚。感じるポイントを責められるたびに腰が自然に動いてしまう。
「くっ……は…ぁくっ……っ!」
強弱をつけながら突かれる快感に翻弄された。
奥まで突かれると強い快感が内臓を伝わり全身に響き渡る。
「い、達くっ…」
「俺も…っ…」
体中粟立つような感覚が全身に広がって…。同時に精を吐き出した。
「まったく…。服ぐらい脱がせてしてくれ。…ドレスが皺になるじゃないか」
「ごめん。…でも本当に我慢ならなかったんだ。腕も、足も背中も、露出し過ぎで」
「いつもベッドで見てるだろうに」
「それ以外では見たことなくて、免疫なくて…」
しどろもどろ答えるカゲミツ。
「…わかった。次回はもっと露出度の少ない服を選んでもらうよ。…それとも、普段から露出度を多くして、免疫つけるほうがいいか?」
「駄目! オレ以外に肌見せるの禁止!」
必死で言うカゲミツが可愛くて、思わず吹き出す。
「じゃあ…。お前以外には見せないからさ。…今度はベッドで、ちゃんと抱いてくれるかな?」
「お、おう」
今度は、濃厚なキスを交わしながら──。
ゆっくりと体を溶け合わせていった。
(みきさんからのリクエスト)
2010/06/29
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