CROSS DELUSION
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今夜は眠らせて
(DC1サイドストーリー後)


久しぶりにアラタが泊まりに来た。

いつものように、飯を食わせて、風呂に入れて、パジャマを貸してやる。

だが、キヨタカに見せるアラタの態度は、相変わらず少し警戒したままの猫という感じだ。

様子をみながら、ちょっとずつしか近寄ってこない。

ようやく、ベッドに入らせ、キヨタカは隣で雑誌を読むことにした。

極力触ったりしないように気をつけながら。

でないと、すぐにまた離れてしまう。

いつも、一緒に寝るときは、おずおず近寄ってきて。

それからつかず離れずの状態で寝ることになる。

そのくせ、アラタの口から出てくるのは、構って欲しい子供のような言葉だった。

「不公平だよ、ヒカル君ばっかり」

アラタが、ベッドに寝転びながら、キヨタカに訴える。

「ヒカルばっかり、何だ?」

「一緒に寝れて」

そういえば、先日もヒカルが来たときは、アラタはさっさと帰って行った。

せっかく泊まりに来たと思っていたのに。

「妬いているのか? お前も一緒に寝ていいんだぞ」

確かに、泊まる確率はヒカルがダントツだ。

アラタが単独で泊まりに来るのはめったにない。

あっちこっちに泊まり歩いているので、来る確率も低くなるので仕方ないが。

たまたま来た時に、ヒカルとかち合うとは、運が悪い。

「だって……。お邪魔虫でしょ」

「そんなことはない。遠慮しないでいいのに。ベッドはキングサイズで寝る場所には困らない」

「……でも、ヒカル君が嫌がるでしょ?」

「どうだろうなぁ。…さすがに3Pは嫌がるかもしれないが」

「3Pって…。何考えてるの? キヨタカって」

「え? 違うのか? 寝たいって」

「……そういう意味で寝たいんじゃないよ」

「へぇ…。俺はてっきりそういう意味かと思ってた。……聞いてるぞ。あっちこっちでのお前のセクハラ被害に遭ってるって話」

きっと、ヒカルが言ったに違いない。

お仕置きもされたのに散々じゃないか。

「……あれは、別に、そういう意味じゃないもの」

「じゃあ、今夜は……しないのか?」

「何を?」

「俺にちょっかい」

にっこりとキヨタカが微笑む。

「……キヨタカに手を出しても、楽しいこと何もないもの」

「それは、残念だ。いつ誘ってくれるのか楽しみにしていたのに。いつでも応えてやるぞ」

「応えるって…。キヨタカに犯られるなんてゴメンだよ。それに、僕は自分が主導権握らないのは嫌いだから」

「犯られるって……。お前、まだ男は殴ったり蹴ったり。抱いて滅茶苦茶にするって思ってる?」

「僕を抱こうとするやつは大抵そうだったよ……」

「俺はそうじゃないって……証明してやりたいんだがな」

「どうやって?」

「思いっきり優しく抱いてやる。ゆっくり愛撫して……これ以上ないってくらい、蕩けさせて啼かせてやるのに」

不覚にも想像して、少し赤くなってしまった。

「………やっぱ、やだ」

「どうして」

キヨタカはそんなアラタの反応を見逃さず、雑誌をサイドテーブルに置くと、そっと手をついてアラタの顔を覗き込んだ。

「だって、キヨタカは家族になってくれるんでしょ。家族はセックスしないよ」

「夫婦はするぞ」

「僕とキヨタカは夫婦じゃないもの。キヨタカと夫婦なのはヒカルだよ」

「…確かにな。じゃあ、お前は俺の子供かな」

「キヨタカの子供って年じゃないけど」

「いやまあ、役柄的に」

「そう…?」

「だから、子供は親に、遠慮せずに甘えて、抱きしめられればいい」

そう言いながら、そっと抱きしめる。

「それから、親のキスも受ける事」

そして、そっと頬にキスをする。

やさしい抱擁と、キスに安心したのか。

アラタが体の力を抜いて、ふわっと腕を回してきた。

「うん……。こういうの……いいね。好き」

「ずっとこうしててやるから……」

(お前が本物を信じられるようになるまで。そして、いつか親離れする時まで)

「ゆっくり眠れよ」

そう言いながら、添い寝の体勢になって、ゆっくり頭を撫ぜてやる。

こうして、ようやくアラタはキヨタカの腕の中で眠れるようになったのだった。

2010/05/08

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