教会で逢いましょう
(DC2・カナ×タマ)
教会で、その後もタマキ君と会う機会を得た──。
けれど……。
「会いたかった。……トキワ」
無邪気に笑う君を見て、心の中に黒い感情が湧き上がる。
俺が、どんな思いで君を好きなのかを知っていて、そんな笑顔を向けるの?
俺が君を好きなことは伝えたはずなのに。
いや…。好きって伝えても解ってない…。
どんな風に好きなのか、どれほどまでに好きなのか…君は解ってくれない。
今にも君を抱きしめて、キスして、体中に触れて、君の全てを感じたい。
キスして「好き」って言ったら、そういう対象で見ているって解りそうなものなのに。
だけど、君は「好きだからってどうこうしたいわけじゃない」と言えば、簡単に信じるんだね。
そんな聖人君子。本当にいたら見てみたいもんだよ。
おまけにとどめのような一言。
「おまえの気持ちにはこたえられないけど、友達になりたい」
…だって?
どんな友達になればいいというのさ。
ここまで行くともう、笑うしかないよ。
でも……。
そんな君が、愛おしくて、憎くて、愛おしくて……。
だから。もっと、知らしめたくなるんだ。
こんな俺の事を。
「俺も会いたかったよ、タマキ君」
「ほんとか?」
そんなところで、照れたように微笑まないで。
……ねぇ。もっと俺を理解させてあげる。
もっと俺を知ってよ。
「うん……ほんとに」
そう言いながら、タマキ君をそっと抱き寄せる。
「トキワ?」
タマキ君の体が強張る。
「好きだよ、タマキ君」
そのままそっと口付けをする。
それから、頬に唇を寄せ、そのまま耳元で囁く。
「どうこうしたいわけじゃない……なんて嘘なんだ。……本当はもっとキスしたい」
「トキワ…」
俺の胸に置かれた手が、押しのけるべきか否か迷いながら、緩く押し当てられる。
「俺とのキスは嫌?」
「……嫌…じゃない…でも」
戸惑いながらも、拒絶されてるわけじゃない……。
唇を頬に這わせながら戻り、今度は、もっと深く口付ける。
「……ん………ふ……」
次第に、タマキ君の体のこわばりが解けていく。
俺の胸に押し当てられていた手は、シャツを握り締めていく。
崩れそうになるタマキ君の腰を支えながら、そっと長椅子に座らせて、そのまま横たえた。
「嫌じゃないなら……もっと、させて……」
そう囁く。
タマキ君は、まだ迷ってるようだった。
「でも、俺……そういう意味でお前を……」
でも、拒否されても、もう止められない。
その言葉を聞きたくなくて、口を塞いで遮る。
そして、そのまま角度を変えながら、口付けを繰り返し、彼の口腔を優しく犯していく。
歯列をなぞり、舌をやんわり吸うと、腕に抱いていた腰がびくりと震えた。
身体が反応していくのを見逃さず、そのままさらに、舌を絡め合う。
「ん……っ……はぁ……」
息の上がったタマキ君が、空気を求めて喘いだ。
甘い吐息を零しながら、眉を寄せる表情が悩ましくて、ますます煽られていく。
もっと触れたくて、手を胸に這わせていった。
シャツのボタンを外すのももどかしく感じる。
肩で息をするタマキ君の、あらわになった彼の胸の飾りの上下する様子が扇動的に見えて、吸い寄せられるように口付けた。
「あぁ……やっ……」
そのまま舌で転がすように舐めると、先が固くなっていく。
「ここ……こうされるの好きでしょ?」
「な……なんで……そんなこと……あぁ……」
甘噛みすると、さらに感じて仰け反る様子に満足する。
俺の作り上げた身体のままの、タマキ君に──。
そんな自分の反応に戸惑いながら、何かを思い出したのか。
彼が熱い息を吐きながら、必死に問いかけようとした。
「おまえ……いったい……誰…なんだよ」
「俺は、トキワ……。それでいいじゃない」
敵で、裏切り者のカナエは、彼に会うことは出来ないけど、見も知らずのトキワとなら会うことが許されないだろうか……。
こうやって、また触れることを出来やしないだろうか。
そんなことを考えると、ますますたまらなくなって。
彼の下の服も取り除いていった。もっとゆっくりしてあげるつもりだったのに、止めることが出来ない。
「や……」
羞恥に朱に染まる身体を眺めながら、足を持ち上げて体を寄せる。そしてキスしながら、下半身にも手を滑らせる。
「あ……」
すでに先走りで濡れていたそれを、指に絡める。
そして、その指をゆっくりと後ろへ挿れていく。
「いっ……やめ……」
痛みですくむ体をなだめるように、前も優しく揉みしだく。
そのまま内壁を弄りながら、感じるところを攻めたてていった。
「あ……や……あぁ……」
次第にこわばりの解けていくのを見計らって、指の数を増やしていく。
「ねえ……感じるでしょ。ここ……」
タマキ君の感じるところは全部お見通しだ……よ。
充分ほぐしてから、今度は自分自身の熱く猛ったものをあてがい、ゆっくりと沈めていった。
「あぁ……」
タマキ君がその痛みのあまりに締め付けてくる。目尻に涙が浮かんでいるのを、指でそっと拭う。
その締め付けの強さに、思わず達きそうになるのを堪えながら、抽挿を始める。
「あ……っ……。カ…カナエ…」
喘ぎながら呼ばれた名前に、思わず体が強張った。
「タマキ…君?」
辛そうな表情で、目に涙を溜めながら見つめてくるのは…誰?
俺の知ってるタマキ君なの?
「あぁ……カナエ」
そう言いながら、しがみ付いてくるタマキ君の手が愛おしくて……。
さらに強く突く。
同時に達した時に感じたのは、苦しみと、哀しみと、後悔と……。
俺は開けてはならない箱を開けてしまったのかもしれない。
だけど、そこに最後の「希望」はない──。
身支度を整えた俺に、タマキ君が声を掛けた。
「カナエ……」
「知らないな、そんな男(ひと)」
俺は、ゆっくり首をかしげながら答える。
「そんな……」
「ねえ……。また、俺に会いに来てくれる?」
「ト…キワ」
「うん、俺に」
カナエには、もう会えないだろうけど。
(会ってはいけないから)
トキワとなら…会えるでしょう?
「教会で待ってるから」
そう言いながら俺は、微笑んだ。
2010/04/30
(まなさんからのリクエスト)
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