それでいいのか7
黒と茶色を基調とした、シックな色合いの部屋の真ん中に大きなベッドがある。
その上にうつぶせに横たわる上半身ハダカのキヨタカと、その上に馬乗りになっているタマキの姿が目に入った。
タマキの手がキヨタカの腰に手を置いて、スラックスをずらすよう手をかけている。
「や、やめろー」
カゲミツがそのあいだに割り込むように、タマキの手を引き剥がす。
「カゲミツ!?」
「こんなところに割り込んでくるなんて無粋だな。……俺がタマキにマッサージしてもらうのがそんなに嫌なのか?」
「……マッサージ?」
想像と現実の落差にカゲミツは安堵するような気の抜けるような、妙な気持ちになる。
「そうだが」
キヨタカが、しれっと答える。
今朝のやり取りも、わかった上で答えていたのが丸分かりだ。
「ナオユキんちに泊まるようになって、マッサージの技を伝授してもらったんで……。ユウトや隊長にも披露してるだけだ」
タマキが、仕方なく状況を説明する。
「じゃ、じゃあ。もう用事すんだってことだろ? タマキ帰ろう!」
カゲミツがタマキの手を引っ張る。
「えっ……」
「このままキヨタカん家に泊まるより、俺と帰って欲しい。ダメか?」
「あ、ああ」
カゲミツがタマキを立たせると、後ろからヒカルが声をかけた。
「ほら、車のキー」
そう言いながら、放り投げる。
「お前ら二人で帰れよ。ワゴンに3人は狭いと言ってたし、俺はお邪魔だろ。…このままキヨタカん家泊まるからさ」
「わかった」
なにか、出来すぎの展開に、仕組まれた感がしないでもない。
だが、カゲミツはありがたく頷くと、タマキの手をつないでキヨタカの部屋をあとにした。
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