それは暗号だから
(DC2 2話 キヨタカ+トキオ)
「着任早々、遅刻とかしてくれるな」
キヨタカが渋い顔でそういうと、トキオはにこやかに答えた。
「あ、それは暗号だから」
「?」
「洗濯してましたは、上層部とのコンタクト。料理してましたは、資料作成」
「なるほど・・・。掃除してましたは?」
問には答えず、にこっと微笑むトキオ。
キヨタカの額に冷や汗が流れた。
「・・・わかった。お前が掃除で遅刻することがないよう祈ってるよ」
「はーい。そういうわけでよろしく」
トキオが出て行ったあと、キヨタカは自分のデスクで天井を見上げてため息をついた。
・・・掃除は不穏分子の抹殺か。
「ほんと、とんでもない状況に追い込まれてるな」
タマキをJ部隊に引き戻したのは本当によかったのか。
自問自答する。
だが、部隊に戻らなくとも、彼が監視対象であることには変わりない。
ならば、すこしでも目の届くところに置きたかった。
タマキの記憶喪失自体、上層部の記憶操作が入ってるんじゃないかという疑いが拭えない。
今後、彼の記憶が蘇ることになったら、もっと過酷な状況になるだろう。
(その時、俺はあいつを守りきることが出来るだろうか・・・)
いや、だからこそ。守りきらねばならないのだ。
今度こそ、逃がしはしない。
キヨタカは、心に誓った──。
2010/03/24
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