想いを伝えて3
(キヨタカグッドEND後 キヨ×ヒカ×タマ+カゲミツ)
「カゲミツ君、大丈夫? 目の下くまができてるよ」
ミーティングルームでぼーっと腰を掛けていたら、アラタに声をかけられた。
「あー? そうか・・・?」
あまり働かない頭で、おざなりに返事する。
なんかぐるぐる考えてたら一睡も出来なかった。
ヒカルはキヨタカとうまくいったんだろうか。
タマキは彼らのことをどう思ってるんだろうか。
ヒカルのように、悩み苦しんでるんじゃないだろうか。
考え始めると止まらない。
やっぱり、キヨタカなんかに任せてなんかいられない。
あんな奴にタマキを幸せになんかできない。
いっそ、タマキのところに押しかけて
「あんな奴と付き合うのはよせよ」と言いに行こうかと思った。
だけど、やめた。
言いたい気持ちはやまやまだ。
だが、タマキはああいう一本気なやつだから。本気でキヨタカが好きだから、覚悟して奴を選んだんだろうし、人に言われて、気持ちを変えるとも思えない。
俺ができることは、そんな彼の幸せを祈りながら見てることしかないんじゃないか・・・なんて。
結局、つらつらそんなことを考えていたら、夜が明けていた。
「タマキちゃんの事?」
アラタがソファーの後ろから覗き込んでくる。
「な、なんでお前そんなことわかるんだよ」
「なんでって・・・それわからない人、タマキちゃんとユウト君くらいだよ」
「・・・タマキはもう知ってる。俺が言った」
「けっこうやるんだね、カゲミツ君」
アラタが驚いたように、口笛を吹いた。
「玉砕したけどな」
「それで、諦めるの?」
「あいつが幸せなら、それでいい」
「幸せだと思って言ってるの?」
アラタ口調が少し冷えたような気がした。
こいつは、嘘とか欺瞞に敏感だ。
「・・・」
「無言の返事は、思ってないってことじゃないの?」
「・・・」
「思ってないのにそれでいい・・・なの?」
「あーもーっ。くそっ。思ってねえけど、どうすりゃいいのかわかんねーんだよ」
「奪っちゃおうとか思わないの」
「だって、タマキの好きなのはキヨタカなんだ。俺が奪って幸せになるとは思えない」
「で、指をくわえて見てるだけ?」
「ちがう」
「ちがうの?」
「別に奪おうとか思わないけど、タマキに幸せになって欲しい。相談に乗ったり、悩みを聞いたり、俺のできることなら何でもしたいんだ」
「だったら、とりあえず、タマキちゃんのところ行くところから始めれば? 本人が幸せなのか悩んでるのかまだ聞いてないんでしょう? こんなところでぐだぐだ悩んでないでさ」
「・・・」
俺は、顔をあげるとまじまじとアラタを見つめた。
まさか、こいつにこんなこと言われるとは思わなかった。
それに、全くその通りだと思った。
「そ、そうだよな。よし、さっそく行ってくる」
「タマキちゃんなら射撃場だよ」
「サンキュー」
なんだか、アラタにけし掛けられた気がしないでもないが。
それでも、逸る心を抑えられずに。
俺は、タマキのところへ向かった。
2010/03/15
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