CROSS DELUSION
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想いを伝えて2
(キヨタカグッドEND後・キヨ×ヒカ×タマ+カゲミツ)


タマキが幸せならそれでいいと思った。

キヨタカが本気なら、任せようと思った。

なのに・・・。





「こんな夜遅くどこ行くんだよ」

出かけようとするヒカルに尋ねたら、返ってきた答えは

「キヨタカんとこ」

・・・だった。

「おい、キヨタカはタマキと付き合ってるんだろ」

「・・・」

「お前、振られたんじゃなかったのか?」

「・・・」

・・・ミーティングルームでのヒカルの様子をみて、俺はてっきり別れていて、それでもヒカルのほうが諦めきれてないんだと思っていた。

お互い、振られたもの同士。相手の幸せを祈って乾杯でもしようか・・・。もしくはヤケ酒に付き合うでもいいかと思って、飲みに誘おうと思った矢先だった。

「なんで、キヨタカのところへ・・・」

「・・・」

「タマキは知っているのか?」

「知ってると思う・・・。あいつ、キヨタカに一緒に住もうと言われてて・・・。でもまだ返事に迷ってる」

「キヨタカのやつ、何考えてんだよ! ヒカル、お前もそれでいいのか」

「だって・・・」

今までだんまりを続けていたヒカルだったが、堪えきれないかのように涙があふれてきた。
涙と一緒に感情を吐き出す。

「だって、仕方ないじゃないか! キヨタカがこうと決めたこと、やめるはずもないだろう。俺が何をいったところで聞くわけもないし!」

「ヒカル・・・」

「嫌だよ。いいわけないじゃないか・・・。俺だけのことを愛してくれなきゃ嫌だ。他のやつのことを愛するあいつなんか見たくない・・・。でも、あいつが誰を愛そうと俺はあいつのこと愛してる・・・」

ヒカルの気持ちは痛いほどわかる。
俺も、タマキが誰を愛そうと気持ちは変わらないから。

「俺にはキヨタカしかいないんだ。あいつに捨てられたら俺・・・。うっ・・・く・・・」

泣きじゃくるヒカルの頭を抱き寄せた。

ヒカルは、俺の肩に頭を預けたまましばらく泣き続けていた。

「だから・・・せいぜい、物わかりのいい恋人を演じるしか・・・ないんだ」

ヒカルの話を聞いてるとだんだんキヨタカに対して怒りが湧いてくる。

「それは違うと思うぜ」

ヒカルが、顔をあげて俺を見た。

「どう違うんだ?」

「物わかりのいい恋人なんか演じなくてもいい。ちゃんと自分の気持ちをいうべきだ」

「嫌だ。うっとうしいやつだと思われたくない」

「いや、あいつああいう性格だから、そういうこと言われても、どこを吹く風みたいなところあるから。同じ次元で悩むだけ馬鹿らしいぞ。つか、そういうこと言われてかえって喜ぶ奴だ」

「・・・」

「・・・」

お互いしばらく顔を合わせていたが、そのうち笑いが込み上げてきた。

「ぷっ・・・それあり得る」

「だろ」

「でも、なんでカゲミツがそんなキヨタカの性格詳しいわけ?」

「それは・・・」

程度の差こそあれ、俺もあいつの掌で転がされてるクチだから・・・。というのはこの際ややこしくなるので置いておく。

「俺様ってやつはそういうもんなんだ」

「うん。そうかも」

ヒカルはまだ涙の乾ききらない顔をあげて微笑んだ。

「なんだか、一人で平気な顔してるのが馬鹿らしくなってきた」

・・・というか、キヨタカのことだから、それさえ愉しんで見てるかもというのは黙っておく。

「だろ、せいぜい困らせてやれ。二股かけられてるんだ。それぐらいやらないと割が合わない」

「うん」

ヒカルは顔をこすって涙を拭くと、自嘲ぎみに笑った。

「でもま、それでも惚れてるんだから仕方ないよな。じゃ、ちょっくら行ってくる」

「ああ」





・・・ヒカルを見送りながら。

しまった。俺って馬鹿じゃね?

タマキの恋敵、けしかけてどうすんだよ。

ここは、おとなしく引き下がらす方向に話を持っていくべきじゃなかったのか。

俺って・・・。

ヒカルたちがうまくいったら、もしかしたらタマキと・・・なんていう気持ちが捨てきれてないのを自覚して。

「わー」

タマキへの純粋な気持ちと、浅ましい気持ちと、ヒカルへの応援の気持ちと・・・いろんな気持ちが頭の中をぐるぐると駆け巡って。

その場で、頭を抱えてしゃがみこんだ。

2010/03/15

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