Project DC 20
(DC2パラレル)
トキオが説明を始める。
過去にカナエがヒカルから盗んだ機密があること。
カナエが盗んだ機密──。
UNKの完全プログラム。そして、UNKアンチウイルス。
これらを入手したらUNK対策が出来るという代物。UNKが浸入してきた際に逆に入り込んで相手を破壊するというプログラムだった。
「それが上層部の丸秘情報?」
「そう、そしてすべてはヒカルの持ち物だった」
ところが、それをカナエがすべて盗んだ上、ヒカルのPCを破壊。
ヒカルを監視しつつ、それらをいずれ取り戻そうとしていた情報部は焦る。
盗んだカナエを監視対象にしていたが、カナエは機密を盗んだままタマキと逃走。
そのデータを取り戻そうと上層部はカナエを掴まえようと躍起になった。
そしてついに掴まえる。
「崖から落ちたカナエとタマキは、当初二人とも上層部が捕獲してたんだ。……俺も追い詰めるところまでは把握していたんだけど、その先は知らなかった」
カナエの持ち物よりデータを手に入れた上層部。
しかし、それはデータの半分だけだった。
カナエに「のこりB半分はすでにナイツに送った。これは二つあわせないと一つの意味のないデータ」と言われる。
上層部はカナエを泳がす決心をする。
(残り半分のデータを取り戻すことを条件に)
上層部はカナエのロザリオには偽プログラムを仕込む
(偽プログラムは逆探知プログラムがつけられていて、もしナイツがそれを手に入れてプログラムを実行すると、その場所を探知したり、PCの中身をそのまま抽出してしまうというもの)
ナイツを釣るための餌として。
そして、カナエが逆スパイと見破られない為の囮として。
「逆スパイとしてナイツに戻ったカナエは。ナイツからデータを渡すように要求されただろうな」
しかし、カナエはナイツにデータを渡せない。
ナイツから半殺しの目に合う。
自白と称して、「タマキのロザリオにある」ことを示唆する。
ナイツ、タマキを狙う。
「そして、今回の事件というわけ」
といいながら、トキオがタマキを見た。
「俺が、のこのこデータを持って現れたってことなんですね。多分スラッシュたちがカナエを見張ってたんだろうと思います。……そこに俺が会いに行った」
「何の為に?」
「……カナエにロザリオを返したくて」
「データごと?」
「……はい。その時はなにも考えてなかったけど、カナエの保身の為に必要かもという気持ちがどこかにあったんだと思います」
「……それが上に知れたら、即、懲戒免職だな」
「………」
「もっとも、囮なんだから結果オーライか……」
カナエの持ち物には中身がなく、タマキのポケットにそのデータが出てくるという状態。
中身を疑うナイツ。
中身を確認(そしてデータが偽物と判明。カナエを疑う)
カナエを掴まえたスラッシュとレンが合流。
「カナエは最初疑われたようでしたが、データ自体が偽物とわかり、そのまま連れて行かれたようです」
「それから、タマキにアレを託したってわけか」
「あれってなんだ?」
話が見えずに、トキオを見る。
「隊長が今持ってるんですよね。……タマキの体内から出てきたアレ」
「ああ」
キヨタカが、丸いカプセルのようなものを取り出す。
「中身、見ていいですか?」
トキオが言うと、そのまま手渡たされた。
中心をねじると半分に分かれ、中からmicroSDのようなものが出てきた。
「こうやって隠していたとはね……。カナエを掴まえた時もどうりで出てこなかったわけだ」
「これの中身は?」
俺の問いに、トキオがデータをセットしながら答える。
「多分、データの完全版。……暗証番号が設定されてる。タマキ分かるか?」
「………」
「タマキ?」
黙り込んで俯くタマキが苦悶の表情を浮かべる。
タマキが搾り出すような声で答えた。
「Tamaki ama Kanae per sempre xxx」
「了解。あー。本物のデータみたい。ヒカル……確認出来る?」
「あ、ああ」
ヒカルが内容を確認して、確かに本物のデータであると告げる。
(タマキはカナエを永遠に愛します)
それを聞きながら、俺自身ショックをうけていた。
…彼らの愛し合っている絆を見せ付けられたような。そんな気がした。
…今更、自分が入り込むような隙はないような気がする。
「だから……カナエは裏切ってはいないんです。あいつを……助けて……」
タマキの悲痛な声が病室に響く。
「無理だな……。すでに交渉は決裂していて、あいつはあっちに戻っていったんだから」
キヨタカが静かに答えた。
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