Project DC 15.5
(……こ、ここは……)
目を覚まして、真っ先に感じたのは冷たいコンクリートの感触と、後頭部の鈍痛。
どこかのビルの地下だろうか?
むき出しのコンクリートと、配水管が目に入る。
それを見上げながら、自分が地面に寝かされてることに気付いた。
「目が覚めた?」
覗き込んできたのは、銀色の髪と赤い瞳の少年。
「お前らは………っぅ……」
痛む頭を押さえようとして、手の自由が利かないことに気付く。手は、後ろ手に縛られていた。
「俺たちは誰かだって……。ねえ、名乗ってあげたほうがよいの?」
赤い瞳の少年が、後ろにいる男に話しかける。
彼の後ろには、ノートパソコンを携えた緩いパーマの男と、メッシュの入った男がなにかの作業をしていた。
「余計なことは言わなくていい」
パーマの男が短く返事をする。
「そう? ……そういうわけだから、名乗らないよ」
少年はタマキに向き直るとそう言い放った。
「だけど、………おまえにはいろいろ答えてもらいたことがあるから、これからいろいろ聞くけどね」
赤い瞳と、銀髪……。
どこかで見たことがある──。
『俺の大切な友達だ──』
カナエの。
「おまえら、ナイツオブラウンドだな。……そして、おまえはレイだろ」
カナエが過去を話してくれた時のことを思い出した。
あの時、カナエの部屋にあった幼いころの二人の写真。そこに写る少年が大きくなると、こんな風になるのではないか?
「……へぇ。俺のことを知ってるんだ?」
「昔……、カナエの部屋で見たことがある」
「そいつは光栄だ。……というか、どういう状況でそれを見たのか気になるな」
レイの表情がにわかに険しくなる。
「……レイ。それ以前に、カナエの事を認識できているってことはこいつ、記憶が戻ってるってことだ」
後ろからパーマの男が言った。
「あ、ホントだね。ビートル、この後どうすればいい?」
「そうだな、とりあえず、このポケットに入っていたデータをどういういきさつで手に入れたか聞かせてもらおうか?」
「そんなのをおまえたちに話すはずがないだろう!」
「否応なく話させるように、いろいろ準備しているからな。ラーク……。あれを……」
ラークと呼ばれた男が、銀色の小さなケースの蓋を開ける。
中には注射器が並んでいた。
「これを打たれたら、なんでも話したくなるぜ」
そういいながら、ラークが近づいてきた。
右腕を捉まれ、強引に腕を捲られる。そして、針が差し込まれた。
「……っ……」
注射器の内部の液体が、体内に注入されていく。
痺れたような感覚が体中に拡がっていった。
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