CROSS DELUSION
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第五幕 囮(おとり)
「イチジョウ侯爵の身辺警護が今回の任務だ」

バンプアップ地下のミーティングルームにて。

キヨタカが淡々と説明を始めた。

事前に打ち合わせはしている。

カゲミツは、タマキへの接触への期待と焦燥で、手に汗を握った。

「…ツ。カゲミツ」

「あ、すまん」

ハッと顔を挙げると、キヨタカが渋い顔でこちらを見ていた。

「おまえの任務だが…」

「ああ」

「当日、侯爵が登院される時、付き人として同行する。そして、そのまま帰りに入れ替わる」

「了解」

「その後の侯爵の警護は?」

トキオが訊ねた。

「ユウト・ナオユキが担当」

「分かりました」

ユウト、ナオユキが答える。

「残りは、侯爵家まで戻り、そのまま待機」

「ラジャ」「了解っ」「わかった」

トキオ、アラタ、ヒカルが答えた。

「…替え玉ってばれなきゃいいけどね。カゲミツ大丈夫なの?」

オミが言う。口調は軽いが、カゲミツの身を案じているのが感じられた。

「大丈夫だと思う。身長自体は大差ないし、メイクもしてもらうから」

「体格違い過ぎ…。詰め物いっぱいしなきゃね」

「防弾チョッキも着るから、ちょうどいいんじゃねーか」

カゲミツも心配かけまいと、出来るだけ明るく答える。

「ナイツはどこで狙ってくると思う?」

ユウトが考えながら訊ねる。

「警護が難しいのは移動中だろうな…」

と、トキオ。

「往きに狙われたら目も当てられないな」

ナオユキも、悪い状況を想像して顔をしかめた。

「国会休めないの?」

と、アラタ。

「それは出来ないと言われた」

キヨタカが答える。

「やれやれ。自分の命と国とどっちが大事なんだか」

「誰かに似て…」

「というか、誰かが似てるんだろうけど」

「頑固なんだね」

みんなの視線を感じて、カゲミツが焦りながら答える。

「な、なんだよ。俺はあんな頑固じゃねーぞ!」

「どうだかねー」

必死で反抗するカゲミツを、みんなは生ぬるい目で眺めた。





2010/07/22

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