それすらも愛しき日々7(カゲミツ)
(DC2キヨタカGOOD END後)
「…で、結局、敵に塩を送って、終わりなわけだ…」
トキオがやれやれと肩をすくめながら言った。
「うるせ…」
そう言いながら、カゲミツは手元のデータチェックに余念がない。
J部隊崩壊後。カゲミツは情報屋として裏世界で活躍していた。
トキオはアラタと便利屋のような仕事を始め、カゲミツの常連になりつつある。
ユウトは道場を継ぎ、ナオユキは傭兵部隊で活躍している。
キヨタカは…。
ヒカルと一緒に失踪して、未だ行方知れずである。
たまに、カゲミツ当てに経路不明のメールが暗号で届く。
『元気でやってる』と。
タマキは、カナエに接触した後、ずっと一緒に行動しているらしい。
組織としては機能してないものの、彼らはお尋ねものだ。
タマキの身を思うと、そんなところに身を落ち着かせていること自体、カゲミツにとっては気が気ではないが、なんとかうまくやっているらしい。
たまに、データで彼らの様子を拾うことがあるが、タマキとカナエが一緒にいるのを見るとホッとする。
「で、カゲミツは結局タマキを諦められたの?」
「…うーん。やっぱ、一途で一生懸命なタマキは好きだ。惚れ直した」
「馬鹿…」
「馬鹿でもいい。あいつが幸せなら」
「自分の幸せは…?」
「そうだなぁ。そのうちすっぱり吹っ切れるかもしれないし、一生このままかもしれないし…わかんないけど。後悔しない生き方がしたいな」
「おー。なんか惚れるなあ、その生き方」
「いいよ。惚れても」
「あれ、以前は自分が好きになれなきゃ意味ないとか言ってるヒトじゃなかったっけ?」
「…いや、人に想われるのも悪くないなと思うようになった」
「得るものはあったわけだ。よかったよかった」
「…ちゃかすなよ」
「してないよ〜」
いつか、この恋が終わる時が来るかもしれない。
だけど、その時まで変わらず抱きしめて行こう。この思いを。
カゲミツはそう思った。
2010/06/28
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