それすらも愛しき日々6(タマキ)
(DC2キヨタカGOOD END後)
DVDを取り出すと、タマキは目の前のノートパソコンにセットした。
…そこには、アマネやカナエらしき人物の詳細データが記録されている。街頭監視カメラや、ありとあらゆるハッキングで得たデータを彼なりに収集した結果なのだろう。よくここまで調べ上げたものだ。
カゲミツが、いったいどんな思いでこれを作成したかと思うと、胸が痛んだ。それと同時に熱くなった。消えかけていた想いが息を吹き返した…そんな気がした。
「隊長……。俺、いままでずっと、俺たちの関係は、互いの傷をなめ合うような関係だと思ってました」
「そう…だな。俺もそう思っていた」
「だけど……。俺たちは一体、どんな傷を負ってたというんでしょう。隊長はヒカルを愛していたし、ヒカルも隊長を愛していて…だれに傷つけられたとでもいうんでしょう?」
「…だれに傷つけられたわけでもないな」
「俺だって。…カナエを愛していたし、今でも愛している。…それに去られたとはいえ、彼が俺を愛していたことを疑ったことはないんだ…」
今更ながら、そんなことに気付いた。
自分が彼を愛していること。
そして、どうしたいか。
「……俺。カナエを追いかけたい。今も彼を愛していることを伝えて、そして彼の気持ちを確かめたい」
「俺もだ…」
「俺たち、自分の気持ちに精いっぱいで…。相手のこと考えてなかった」
「自己満足の自慰プレイに2年か…。そりゃカゲミツも怒るわけだ」
相手を思ってるつもりで、何一つ得ようとしなかった愛だった。
本来の愛は、それを得るために悩み、傷つき、人を傷つけるのさえ厭わなかったはずだ。
そんなことも忘れていたなんて。
「…カゲミツにもひどいことした」
「これを無駄にはしない」
「ええ」
「行くか」
「はい!」
そこには、迷いの吹っ切れた二人の姿があった。
2010/06/28
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