それすらも愛しき日々5(カゲミツ)
(DC2キヨタカGOOD END後)
…あれから、2年経った。
タマキとキヨタカの関係は相変わらずだ。
お互い、別の人間を想いながら、お互いを慰め合うような関係を続けている。
(慰め合う? 一体何を慰めるっていうんだ!)
愛する者が、自分から去って行った事?
そしてそれに傷ついた事?
そんなこと、てめえが勝手に傷ついているだけじゃないか。
そんなところで立ち止まってても、欲しいものは手に入らない。
欲しいものを手に入れたければ、自分で行動するしかない。
この2年間、カゲミツ自身がもがき苦しみながら得た答えだった。
苦しくてもやっぱりタマキを愛していた。
だから、彼のために出来ることをしてやりたかった。
そして、その答えがこれだ。
カゲミツは二枚のDVDケースを握り締めながら、キヨタカの家に向かった。
彼らが受け入れなければ、もうこれ以上かかわるのはよそう。
そこにいるのは、もう自分の愛したタマキではないと…踏ん切りをつけよう。
「ここに、二枚のDVDがある。一枚はキヨタカに、もう一枚はタマキにやる」
キヨタカのリビングのサイドテーブルにそれを置く。
「一体この中には何が?」
「一つは、宮家のセキュリティーとそれのハッキングプログラム、脱出経路と手薄な陣営などもろもろ。もう一つは、ナイツオブラウンドの現在の潜伏先の一覧と、調べられる限りの行動の履歴など…だ」
「カゲミツ…」
「これをどうしようと、お前らの勝手だ。…手を貸してほしいときはいつでも貸してやる。…そしてそれは、J部隊の全体の意思だ」
「だが、そんなことすれば、お前たちは…」
「今後、部隊が崩壊しようが構わない。それぞれ自分らの未来は考えてる。…考えてないのはお前らくらいだぜ」
「……」
「じゃあな」
そういいながら、振り向きもせずに、カゲミツはキヨタカの家を後にした。
2010/06/28
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