それすらも愛しき日々4(ヒカル)
(DC2キヨタカGOOD END後)
病院に宮家の人間が迎えに来たとき、目いっぱい釘を刺された。
『これ以上、あなたがここに留まることはJ部隊にとってもよくありません』
『部隊の存続も危ぶまれます。彼の将来も…』
自分の存在が、キヨタカの足かせになるのを何よりも恐れていた。
いままで、こうやって目をつぶってもらえたことだけでもありがたく思わなければならないのかもしれない。
7年もの間、幸せに過ごすことが出来たこと自体、僥倖だったのだ。
今まで末子だという立場に甘んじていたが、いずれ表舞台に出なくてはならなくなる。
その時、宮家のスキャンダルというのは、キヨタカにどんな影響を及ぼすか。
本人だけにとどまらず、親類縁者…。ひいては警察関係者全体にまでかかる問題になるだろう。
マスコミの餌食になることは間違いないし、上層部もそれを看過することができないだろう。
キヨタカの地位が危うくなると同時に、彼のプライベートもズタズタになる。
そんな目にあわすことは出来ない。
もし、この場から逃げ出すことが出来たら……。
自分もすべてを捨て、彼もすべてを捨て、昔自分たちの部隊からそうやって逃げた二人のように自分たちも逃げだせたら…。
こんなことで悩む必要もないように思われた。
ただ、その為の手段はすべて奪われていた。
ヒカルはこの籠のなかで孤立無援状態だった。
自分に出来ることは、ただ彼を思い続けることだけだった。
彼を信じて…待つこと…だけだったのだ。
2010/06/28
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