それすらも愛しき日々1(タマキ)
(DC2キヨタカGOOD END後)
キヨタカに抱かれた日を境に。
俺は彼の家に転がり込むように暮らすようになった。
あの時は、お互い傷つきあったもの同士、こうやって傷をなめ合いながら癒すのが一番いいんだと…。
本気で思っていたんだ──。
「タマキ。キヨタカと一緒に暮らすって本気か?」
すぐに、カゲミツに気付かれた。
二、三日もしないうちにばれてしまった。
任務後、キヨタカの家に向かおうとするところを捕まった。
そしてまっすぐ俺に訊ねてくる。
…ばれるのは時間の問題だと思っていたし、遅かれ早かれ彼には話さなくてはならないと思っていた。
「ああ。本気だ」
「なんでだよ! お前、キヨタカを愛してるわけじゃないだろう?!」
「…愛してはいないよ」
「だったら! 俺と居てくれよ。俺はお前を愛してるし、お前がカナエを愛しているのも解ったうえで言ってる。ただ、そばにいてくれるだけでかまわない。お前がカナエに去られた隙間を、俺で埋めるのは無理なのか」
「お前じゃ…ダメだ」
「どうして!」
「俺を愛してくれるお前じゃダメなんだよ。俺はまだカナエを愛しているから…。隊長が俺を愛してないのが解ってるから、こうやって身をゆだねることが出来るんだ」
「愛してちゃどうしてダメなんだ」
「お前の愛に応えられないのが解ってるのに、そんな卑怯な真似できないよ。それに、俺はカナエに去られた隙間を埋めたいとは思わない。カナエ以外のだれにも埋めることはできないんだ」
「タマキ…」
「ごめん、カゲミツ。俺はお前を愛することは出来ないけど、幸せにはなって欲しいと思ってる。愛せもしない俺のそばにいてもお前は幸せにはなれない。…別の幸せを見つけてほしい」
「別の幸せってなんだよ…。タマキっ…」
「お前を愛してくれる人と一緒になって欲しい」
「なんだよそれ…、そんなのが…俺の…」
まだ、何か言い募ろうとするカゲミツを振り切って、俺はその場を離れた。
その時の俺は、ただカナエに去られたことへのショックでいっぱいで、他の事を考える余裕も、思う余裕もなかったんだ。
正直、自分の本心さえよくわかっていなかった。
本当はどうしたいのかさえ……。
2010/06/28
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