CROSS DELUSION
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Project DC 17
(DC2パラレル)


ミーティングが始まる時間になっても、タマキは戻ってこなかった。

「これは……。何かあったとしか思えないな」

キヨタカが苦渋の表情を浮かべる。

「携帯は?」

「繋がりません」

さっきから何度もかけているナオユキが答える。

「トキオ……。位置確認出来るんだろ? 調べてくれ」

「あー。ご存じでした? いますぐ確認するよ。極力使わないように思ってたんだけどね」

タマキの携帯はGPS探索機能付きってことなんだろう。

トキオがノートパソコンを開ける。

「タマキがいなくなるような理由、誰か心当たりあるか?」

キヨタカに訊ねられて、俺が答えた。

「昨日別れるときは、全然そんなそぶりなかった…」

「昨日……。カゲミツ君……。タマキちゃんに何をしたの」

俺の言葉を聞き咎めるように、アラタがゆっくりこっちを向く。

目が真剣だった。いつもの温和な猫かぶりはしてない。

「何って……」

言いよどんだ俺の表情を見て、アラタが察したのを感じた。

「タマキちゃん、体を触れ合わせるの極端に恐れてた。何か思い出しそうで怖いって…」

「そんな…。俺たちは……互いの気持ちを確認して…」

嘘だ。過去を話すのを条件に俺が強引に抱いたも同然だ。

「それに。……タマキは言ったんだ。もう過去には拘らないって…」

そう言いながら、口ごもる。

……本当にそうだろうか。

あんなに、知りたがっていたのに。

あっさり諦めるのはタマキらしくないと思ったんだ。

まさか…。もう…。

記憶を取り戻したの……か…?

「タマキちゃんにもしもの事があったら、カゲミツ君のこと許さないからね」

「……。俺も……」

絞り出すような声で言う。

「自分を……許せねぇ」

おもいきり、唇を噛みしめる。

口の中に血の味が広がった──。







「履歴確認したよ」

トキオが沈黙を破るように言った。

「場所はスラム街。教会からそう離れていないビル。……そこで途切れている」

「よし、今からそのビルに行くぞ……。みんな準備をしてくれ」

キヨタカの指示に従って。

俺たちは行動を開始した。

2010/05/07

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