Project DC 16
(DC2パラレル)
次の朝──。
俺は早めにミーティングルームに入った。
結局あの後、ワゴンに戻って仮眠を取ろうとしたものの、寝付けなくて。
だったら、さっさと起きてしまおうと思ったのだが。
「……トキオ?」
革張りのソファーには、毛布をかぶったトキオが寝ていた。
「なんでこんなところに……」
俺の声に、目を覚ましたトキオがあくびをしながら起き上った。
「なんでって…。おはよう、色男。おまえの邪魔をしないように、気を利かせてこっちに来たってのに。……お姫様は同伴じゃないのか?」
顔に血が上る。…ばれてたのか。
「ご、ごめん。……お前が帰る前に帰ったつもりだった」
「いんや。構わないよ。……じゃ、タマキはまだ寝てるのかな」
「あー、わかんね。……だ、大丈夫かな。タマキ…。見に行った方がよいかな」
「んじゃ、毛布おいてくるついでに起こしてくるよ」
「頼む」
「了解〜」
毛布を抱えながら、片手をひらひらと振って、トキオは出ていった。
俺は、ソファーに腰を下ろして、どんな顔をしてタマキと顔を合わせばいいかなど、ふわふわした感情を抱きながら、愚にもつかないことを考えていた。
だけど、そんな感情はその後、すぐにかき消された。
十数分後。
トキオが戻ってきたが、表情が硬い。
「タマキが……いない」
「な……」
「ベッドも冷たい。かなり前から出て行ったようだ」
「いったい、どこに……」
「……でも、勤務時間外にどこに行こうと勝手だ。……案外、時間になったら普通に帰ってくるかもしれない」
「そうかな……。そうだといいんだが」
「……気になることが一つ」
「何だ?」
「ロザリオが……失くなっている」
ロザリオが……。
失くなっている……?
嫌な予感がした。
2010/05/07
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