もっと優しく3
(DC1カゲミツEND後)
──ほんの悪戯だといいながら、ほんとはかなり本気だった。
「じゃあ、試してやるよ」
カゲミツのパジャマのボタンを外して…。
肌を露わにして、キスの雨を降らせたら…。
その白い肌に残る、赤いキスの跡はどんなに映えるだろう。
そんなことを考えたら、体が熱くなった。
欲情している自分を自覚した。
だけど…。
やせ細った腕を見て…。その細い肩を目の当たりにして…。
急速にそんな気持ちが引いていく。
抱きしめたら、壊れそうな気がして。
切なくなった……。
(ほんと、もっと太ってくれ…)
あのあと、あいつから来たメール
『体力すぐに戻してやるからまってろよ!』
そんな風に言われたら、もう…可愛い過ぎて、抱かれてやってもいい気になってくるじゃないか。
こんなに抱きたい気持ちでいっぱいなのに。
ああ、もう…俺、かなり重症だ。
「タマキ! この荷物ここに置いていいか」
カゲミツが鞄を下げて入ってくる。
「うん、そこでいいよ」
それから、カゲミツのほうへ向きなおる。
「…ようこそ、新居へ」
そう言いながら、微笑むと、カゲミツがはにかむように笑った。
退院したカゲミツと、二人で住むことに決めて。
新しい部屋を借りた。
今日から、ここが二人の愛の巣になる。
「なあ、早くこっち来いよ」
俺は、高鳴る胸の鼓動を感じながら、カゲミツに抱きしめられるのを待った。
2010/05/06
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