CROSS DELUSION
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project DC 15
(DC2パラレル)


「それじゃあ…タマキ」

後ろ髪の引かれる思いで、別れを告げる。

「うん。また明日…」

見上げるタマキの顔を見て、また愛おしさが込み上げてきて思わずキスをする。

「また明日。おやすみ…愛してる」

「うん…おやすみ…」

俺は、まだふわふわとした幸福感に包まれながら、タマキの部屋を後にした。

そして。そのままキヨタカの家に向った。









「ロザリオの中身は空だった…」

先ほどとは、一変して緊迫した雰囲気の中で。

俺は、今日得たことを報告した。

「それは…予想外というか……」

キヨタカが、怪訝な顔をした。

「予想外?」

「いや…。その話は後で説明しよう。こちらからも報告したいことがある」

「報告?」

「すでに敵にデータが渡っている…」

「渡っているって…どうやってわかったんだよ」

「例の『UNK』…それが敵の手に渡っていたからだ…」

「『UKN』?……例の破壊ウイルス? それが……盗まれたデータの中身だっていうのか?」

「ああ…それだけじゃないがな」

「なんで…そんなものをヒカルが持ってるんだ……まさか!?」

「そう…ヒカルが『UNK』の作者だ」

ヒカルが『UNK』の作者…。

あの、7年前に政府中枢を震撼させた、ウイルスを!?

「え…。でもそれがなんで政府がそれを把握してるわけ?」

ヒカルでさえ、データが盗まれた可能性を考え始めたのは、『Project DC』の内容を知ってからだ。

そこで、初めてパソコンの破壊とデータの盗取を結びつけたくらいだ。

タマキを捕えてから、発足しているプロジェクトっていったいどういうことだ。

「俺、昔…この頭脳を買われて、国の研究所にも顔パスだったことがあって…。ウイルスを作った時から…政府には目を付けられてたんだと思う…。騒動を起こして、逃げ出した時には…いろんなデータも持ち出していて」

「カナエがスパイだってわかった時点で、それが盗まれたと思いながら政府は動いていたってことか?」

「たぶん……。上はパソコン壊された時点でなにかあると睨んでいたんだと思う…。」

「でも、そんなわずかな可能性で動くほど重要なもの…なんでいままでほったらかしだったんだ?」

カナエを狙う云々より、さっさとヒカルを捕まえて、取り上げるなりすりゃ済むことじゃないか…。

「それが…迂闊に国も動けなくてな…」

キヨタカが補足しようとする。

「国が?迂闊に?」

さっぱり要領を得ない。迂闊に動けない? なんでだ?

だけど、このデータを奪い返すためにカナエをターゲットにしていたなら…。

「データはとっくに敵の手に渡っていたという事は…もうカナエ単体を狙う理由がないってことじゃないか?」

ひいては、それを釣る為のタマキという餌も必要なくなる。

「なんだかわかんないけど、俺たち的には万々歳?」

「いや、そういうわけにはいかない」

「なんで…?まだカナエやタマキを狙う理由があるのか?」

「それが…あるんだ」

「いろいろ持ち出したデータの中に…もっと重要なのが」

「いや…でも。それもう敵の手に渡ってるんだろ」

「いや、渡ってたいらとっくに、それ使って動いているはず。なのに『UNK』しか使ってないということは、それはまだ向こうには渡ってない…。だから、カナエが保身に持っていたと考えられるんだ」

「でも、空だった……。政府がロザリオを調べた時に、マイクロSDの存在に気付いて、とっくに手に入れてるんじゃ…?」

「それじゃあ、まだプロジェクトが動いている説明がつかない」

「確かに……」

「それに、もし手に入れてるとしたら、抜き出して空にするなんて間抜けな手を取らずに偽物とすり替えて、さらに読み込んだ時点で逆探知するプログラムでも走らせようって思うだろうさ」

ヒカルも口をはさんだ。

「じゃあ…それは今どこに?」

「…それが気になるんだが」

「あっ……」

まさか、タマキが…?

「どうした、カゲミツ」

「いや…なんでもない」

やけに簡単にメダイが開いたことが気になった…。

だけど…だからってタマキが取る必要がどこにある?

俺は自分の考えを打ち消した。

「ま。ここで、悩んでいても仕方ない。もうトキオにも洗いざらい話して…。あいつの情報も得たほうがよいようだな…」

「信用出来るのか? …そのまま上に報告されるのがオチだぞ。」

「いや…。そうは思わない。俺はあいつがタマキの不利に動くようなことはしないと信じている」

「……キヨタカがそういうなら」

「任せるよ」

俺たちも同意することにした。

2010/04/26

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