Project DC 13.5
(DC2パラレル)
(お楽しみ中か…)
トキオは、部屋に入ろうとしたとたん聞こえてきた、タマキとカゲミツの声に…おやおやと驚いた表情をしながら、手を止める。
(意外にやるもんだね…。あのわんこ)
そのまま、外に出てそっと、ドアを閉める。
調査報告やなんやらで帰るのが遅くなったな…とは、思っていたが。
こんなことになってるとは思いもよらなかった。
それに、カゲミツって泊じゃないとか言ってなかったっけ…。
(やれやれ…今日はどこで寝ればいいんだか)
自室にそっと入って、寝てしまうという手もあるが、あの声を一晩聞くのは耳に毒だ。
明日二人と顔を合わすのも、なんか可哀想な気がするし…。
…カゲミツが出はらってるなら、ワゴンのシートが空いていると思ったが、新参者の自分が押しかけて泊まるのは、まだあまりにも無遠慮だと思った。
(…今日はミーティングルームのソファーで、独り寂しく寝ることにしますか…)
思い直して、もう一度中にそっと忍び込む。
それから、毛布だけ持ち出して出てくる。
喘ぎ声は、まだ続いていた。
(まったく…。当てられるね…)
毛布を抱えて、地下に下りていこうとするトキオをみて、マスターがぽかんと口を開ける…。
「どうしたんだ、トキオ。毛布なんか抱えて」
「ちょっとね。野暮な真似はしたくないんで…」
「野暮って…タマキの…? え〜!?」
思わず口を押えるマスタ―。
「そういうわけで、おやすみ、マスター」
「おやすみ…」
呆然と見送るマスターに手を振りながら、スタッフオンリーのドアを抜ける。
(このまま記憶が戻らなければ、平穏に暮らしていくこともできるだろう)
そう思ったのはいつの事だったか…。
この日が、タマキの「平穏に暮らした最後の日」であった…と知るのは、次の日のミーティングが始ってからの事だった。
あの時、部屋に戻っていれば…と後悔したした。
けれど、もうどうすることも出来ない。
そう…。
もう、後には戻れない…。
2010/04/24
[*前] | [次#]