Project DC 12
(DC2パラレル)
「カゲミツが望むなら…いいよ」
タマキが俺の目を見つめながら答える。
「俺も…カゲミツの事、好きだから」
「タ…マキ…」
彼の言葉に呆然とする俺。
今、なんて…。
「J部隊に復帰して、みんなとギクシャクしていたころ。…最初から、優しく接してくれたのはおまえだけだった」
あの頃の事を思い出して、少し辛そうな表情をする。それでも微笑みながらタマキは話続けた。
「おまえの態度にどれだけ救われたかしれない…」
「そんな…、大したことしてたわけじゃない…」
「それに、どんな時も、おまえの優しい眼差しに見守られてるっていう実感があった。…俺、そんなおまえにずっとおまえに支えられてた」
気付いてくれてた…。
「…おまえは俺にとって、ほんとに大切な存在になってた」
胸が苦しい…。
「だからこそ、余計に不安になるのかもしれない…。こんな記憶のない状態でのうのうとおまえに甘えていていいんだろうか…。ちゃんと思い出して…それからやり直すべきじゃないかって」
タマキはテーブル越しに手を伸ばしてくると、震える俺の手を取った。
「だから…カゲミツのものにして…」
「ものだなんて…ごめん。おまえはものなんかじゃないのに…」
もの呼ばわりした自分の発言を悔やむ。こんな言い方ってないよな。
「じゃあ、恋人に…して?」
「タマキ。ほ…ほんとに?」
「ああ」
「ゆ、夢みてるんじゃないよな…」
そんな俺を、少し困ったように見て、タマキは手を強く握りしめる。
「どうやったら信じてくれる?」
「じゃあ…抱きしめていいか?」
「いいよ」
タマキが手を離して、立ち上がる。
そして、俺の傍に立つ。
それでも、まだ半信半疑で、立ち上がれずにタマキを見上げるだけの俺。
「抱きしめてくれないのか?」
少し困ったように、微笑むタマキを見てあわてて立ち上がる。
そして、ぎこちなく腕を伸ばして、タマキの背中に回した。
「夢じゃないよな」
「夢じゃないよ…」
タマキが、俺の背に回してくる。
服越しに伝わってくるタマキの温かさを感じて、ようやくタマキを抱きしめていることを実感する。
「好きだ…タマキ…。愛してる」
俺は、ようやく手に入れた最愛の想い人を、もっと強く抱きしめた。
2010/04/22
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