もっと優しく1
(タマ×カゲ・カゲミツGOOD END後)
『もー、俺ほんとバックがヤバイと思ったんだけど。お前、もっと優しくしてくれよ!』
カゲミツからのメールの画面見つめたまま、ミーティングルームのソファーで固まるタマキの姿があった。
「もっと、優しくって・・・言われても」
深くもソファーにもたれこんで、天井を仰ぎながらため息をつく。
バックがヤバイどうのは、この際置いておいて・・・。
(タマキ自身、自分も男だという自負があった)
優しくというのは、どうすればよいんだ。
そもそも、男相手に恋愛したことないので、具体的なやり方もよくわからない。
「どうすりゃいいんだ・・・」
「なにか、お悩み?」
上のほうから、声が降りてきた。
そちらに顔を向けると、ロフトの手すりから身を乗り出してヒカルが声をかけてきた。
キヨタカはまだ本部なので、ヒカルは一人でパソコンをしていたようだ。
「そもそも、昨日はあの後どうだったんだよ? うまくいったか?」
カゲミツを押し倒している最中に鉢合わせたキヨタカとヒカルは、気を利かして昨日は即効帰っていった。当然、その後も事とに及んでいると思われている。
「うまく・・・」
言葉に詰まる。
「あちゃー。やっぱタマキが押し倒すには無理があった?」
「ちがう」
そこは思わず否定してしまう。
「というか、そもそもやり方がわかんないし・・・」
「うんうん。そうだよな」
「カゲミツにはもっと優しくと言われるし・・・」
「もっと・・・って、いったいどんなやり方したのさ」
「つか、なにもしてねーよ」
「じゃあ、どんな優しくないことしたの」
「うーん。迫る振りしただけ・・・」
「迫る振り!? ・・・それだけ? そんで優しくって、カゲミツもどんだけヘタレなのさ」
「・・・」
「よっし。ここは俺が一肌脱いで、優しいやり方ってのをタマキに伝授してやるよ」
「ほ、ほんとか」
そのあと、ヒカルはタマキにしっかりと伝授したのだった。
* * *
「今頃、タマキ頑張ってるかなぁ」
タマキが病院に出かけてから、入れ違いにやってきたキヨタカと一緒にソファーに座りながらニヤニヤするヒカル。
「何を?」
キヨタカが書類から顔を上げて、ヒカルに尋ねる。
「タマキがさ、昨日のリベンジを果たすって出かけていったんだけど」
「リベンジねえ。タマキがやるのか」
「大丈夫。俺がしっかり仕込んでやったから、相手の喜ぶようなやり方すべて」
「手取り腰取り?」
「ばっ・・・馬鹿。口頭でだよ。・・・それにそれをいうなら手取り足取りだろ」
「俺も、口でしてくれ」
キヨタカが、ヒカルの顎に手をあてながら、面白そうに覗き込む。
「こ、このオヤジ〜」
その手を払いのけようとするヒカルの腕をつかんで引き寄せると、キヨタカは低く響く声で、耳元に囁いた。
「その相手が喜ぶようなやり方すべて・・・言ってみろ。全部俺がしてやる」
腰にくる声に、ぞくりとと身体が震える。
「・・・いいよ」
キヨタカの首に腕を回しながら、答えた。
(END)
2010/02/15
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