Project DC 9
(DC2パラレル)
その日の任務は、散々だった。
石油ターミナルの爆破を阻止──。
相手はナイツオブラウンド。
しかし、敵にウイルスを仕込まれたコンピュータは制御不能。
タンクの石油弁はすべて開けられた挙句、ターミナル中枢に時限爆弾を仕掛けられた。
俺はそれを、解除することが出来なかった──。
おまけに、わざと掠めるだけの傷を負わされた。
唯一の救いは、その時限爆弾が、ただの玩具だったことだ。
俺たちを玩ぶかのようなナイツの所業。
俺のプライドはズタズタだった。
* * *
救護班に簡単な手当を受けた俺は、みんなと遅れてバンプアップに戻った。
一旦、地下のワゴン車に向かって着替えることにする。
弾で穴の開いた、血まみれのつなぎを脱ぎ捨てた。
袖は止血の時に使って、ちぎれている。
「くそっ!!」
カナエのやつ──。
舐めたマネしやがって!
俺たちを玩んで何が面白いんだ!
タマキの心の中にはまだお前がいるというのに…。
お前は、もう冷徹なスナイパーでしかないのか──。
怒りと、悔しさと、落胆の入り混じった感情が渦巻く。
タマキへの想いは本物だと思っていたのに──。
「いたたっ……」
擦り傷だらけの腕に袖を通して、一息つく。
だけど──。
逆に考えれば、遊びの計画だからこそ、まだ荷担しているのかもしれない…という考えもよぎる。
心の何処かで、まだあいつを信じている自分がいる。
少なくともタマキに対してのあいつの事は──。
俺にしたことは、絶対許せないけど。
「はぁ…」
余計なことまで頭を回しすぎるのも、甘ちゃんな考え方も…問題だな、俺。
ふと見上げると、ドアの内側に、ヒカルからのメモが貼り付けてあった。
『キヨタカのところに行く。
あとで相談したい事がある
戻ったら連絡くれ H』
相談──?
なんだろう…。
気にはなったが、「戻ったら」の前に吹き出しで(タマキのところから)と入れてある。
こっちを優先していいってことか。
ひとまず、上に上がることにした。
2010/04/14
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