Project DC 5
(DC2パラレル)
キヨタカの家に着くと、まず部屋に盗聴器がないかチェックする。
家の周りも同様に。
どうやら、盗聴器はないようだった。
ひとまずほっとして、みんなで顔を合わす。
「で、話って何だ」
キヨタカが口を開いた。
「カナエが生きていた…」
それだけ言う。
「本当か?」
驚いて目を見開く。
「ああ、今日カメラで確認した…。あの腕前からしても間違いない」
「そうか…。あいつはナイツオブラウンドに…」
「さらに、あいつは何か機密を握っていて、それを回収するのと抹殺するのが上の目的らしい」
データを見せながら説明する。
「機密?」
「もしかしたら俺のプログラムに関係するかもしれない」
ヒカルが言う。
キヨタカはそれを聞いて、眉をしかめた。
「そいつは厄介だな」
「なにか心当たりがあるのか?」
「ヒカルは昔、天才ハッカーで名を馳せててな。いろいろ問題も起こしてたんだ」
「ホントか?」
ハッカーの腕がすごいとは思っていたが、そこまでとは知らなかった。
「世間はどこの誰かは知っちゃいねえよ」
「世間はな…」
キヨタカの含みのある言い方が気になるが、話を本題に戻した。
「それで、タマキの事なんだけど。どうやら、カナエを釣る為に餌として泳がされているらしい。トキオはその監視者だ」
「監視されているのは判っていたが。餌ってのは気付かなかったな。ターゲットを釣る為…ということは、ターゲット=カナエがタマキに接触してくる可能性があるということか…」
「何のために?」
「タマキが持ってるデータを回収するため」
「もしくはタマキ自身を手に入れるため」
俺の問いにヒカルとキヨタカが答える。
「だったら、最初からタマキを対象にすればいいわけで、カナエがターゲットな意味がわかんねえ」
「二つ合わせなければ意味をなさないようにしてあるのかもな」
「それは考えられるな」
分割されたデータか…
「しかし、そんなものタマキが持ってると思うか?」と、俺。
「どこかに隠されてるのかもしれない。もしくは隠し場所を知ってるのかも」と、ヒカルが答える。
「そういえば、タマキの所持品にカナエの持っていたのとそっくりなロザリオがあったな」
キヨタカが、それに続く。
「それだ!」
俺たちは同時に叫んだ。
「そういや、ロザリオってコインついてるやつ多いよな」
「Hollow Spy Coin(中が空洞になっていてマイクロSDなど隠せるコイン)みたいなやつになってるんじゃないか?」
「もしくは、ロザリオ自体がロケットになってたり」
「…カナエのロザリオにそんな細工が?」
「そんなの、つかまった時にとっくに調べられてるはずだろ?」
「そりゃそうだけど…」
「だが、一度調べてみる価値はありそうだ」
キヨタカに言われ、俺たちは頷いた。
2010/04/09
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