Project DC 3
(DC2パラレル)
「俺、それには心当たりがあるんだ…」
ヒカルが苦虫を噛み潰したような顔をして言った。
「いったいどんな…」
「あのさ、以前カナエにパソコンクラッシュされたことあるじゃん」
「ああ、あいつメチャ機械音痴だから」
「あれ…嘘だとしたら?」
「あれが演技だったっていうのか!?」
「…うん」
あの時、ヒカルは機械音痴だというカナエに面白がって自分のパソコンを触らせて、挙句の果てに煙吐いて壊されたのだった。
まさかあれが演技だとはとても思えないのだが。
「お前、あのときルート権限で?」
「…入ってた」
「ばっ…」
管理者の権限なら、簡単にコピーも出来るし、カナエがフラッシュメモリなんか持ってたとしたら気付かなかったかもしれない。
カナエにそんな技術がなくても、実行コマンド一つ覚えておけば、これらを自動的に実行出来るプログラムを走らせることが出来る。
挙句に、パソコン壊されたとあっちゃ、コマンド履歴も見られないし、何をされたか謎のままになる。
「…考えられないことではないだろ?」
「しかし…。それで盗まれて困るものって?」
「俺の作ったハッキングプログラムとか、その他もろもろ…」
「それ国家機密?…なわけないよな」
「いや…」
ヒカルはなにやら歯切れが悪い。
「しかし、それを使ってハッキングして国家機密を盗んだという可能性はあるか…」
「……」
沈み込んでるヒカルをよそに、俺はいろいろ想像を巡らせた。
まさか、この時は次の事件にかかわるウイルスの事は露ほども思わなかったのだった。
2010/04/07
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