この感情の名前1
(DC1第6話 ユウト→ナオユキ)
思わず体が動いていた。
自分がどうなるとか、考えられなかった。
ただ、彼を助けたい。そう思った。
彼がいない世界なんて想像できない。
想像もしたくない。
そんな世界耐えられない。
彼と出会って。
必要とし、大事に思い、交友を深めてきた。
それは、でも仲間として当然の事だった。
知れば知るほど、彼が好きになった。
屈託のない笑顔が好きだった。
自信ありげな態度も、その裏の努力も彼らしくて。
自分の中で、彼の存在がどんどん大きくなっていった。
いつからだろう。
仲間とか友人とか…そんな言葉では括れないくらいの感情を抱き始めたのは。
だけど、それが「何か」を意識することなく、ただ心に抱き続けてきた。
すごく彼が好きだ。
それだけでいいと思っていた。
だけど、彼が死ぬかも…という状況に直面して。
自分の感情を自覚した。
「ただ好き」だなんていう生ぬるい感情ではないということを。
恐怖を抱くほどの絶望感。喪失感。
彼を失って自分に何が残るのだろう。
いかに彼がかけがえのない存在になっていたか、気付かされた。
今ならこの感情に名前を付けることが出来る…。
2010/04/07
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