想いを伝えて5
(キヨタカグッドEND後 キヨ×ヒカ×タマ+カゲミツ)
あれから数週間──。
特に目立った変化はなく、相変わらずの日常を送っていた。
小さなテロや、ナイツオブラウンド絡みの事件など、仕事はいっぱいあったし、俺は諜報活動でいつものように寝不足になりながらも、情報収集に明け暮れていた。
本当はもっとタマキと接するきっかけを掴みたかったけど、それもままならない。
さりげなくアラタに邪魔されてるような気がするのは気のせいか。
メンバー間の交流も良好。
これといった修羅場を見ることなく平和な日々…
正直、拍子抜けした。
タマキも見た感じ、ひどく落ち込む様子もなく、さりげなくキヨタカとの距離を置くようになった。
本当に自分で解決したんだな…。独りで。
無事決着がついたことに対する安堵の気持ちと、一抹の寂しさを感じる。
ヒカルとキヨタカは元のさやに納まったようだ。
あの後どうなったか、ワゴンで聞いたことがある。
「うーん。…なんつーか、俺への愛情が減るわけじゃないって納得させられて…」
(それは、ぜったいうまく言い包められてると思う…)
「このままでもいいかなって思ったんだけど。でも、結局タマキが別れると言って…」
ヒカルも心中複雑なんだろうなと思った。
あいつもタマキの事嫌いじゃないから。
そういえば、アラタはどういう気なんだろう。気になった。
「アラタさ。自分もタマキの事好きなのに、なんで俺にはっぱ掛けるようなマネしたんだ?」
ミーティングルームでまたサボってるアラタを捕まえて聞いてみた。
「応援してくれてるわけ…ないよな」
「もちろんないよ」
にっこりと切り返される。
即答かよ。
「カゲミツ君にはさっさと玉砕してもらわないとね。いつまでも未練引きずられても困るし」
「だから、振られたって言ったのに、更にけし掛けたってわけかよ」
「そうだよ」
「それで、お前はどうするつもりなんだよ」
「僕? 僕は自分の出番が来るのを待ってるんだ」
「出番?」
「真打は最後に登場するものだからね」
「なんだと〜」
「最後に、タマキちゃんを手に入れるのは僕だから」
「どっからくるんだ、その自信」
「だって、隊長もカゲミツ君も振られて…それにカナエ君もいない今、僕しかいないし」
カナエの名前を出すのは少し辛そうだったけど、言ってる内容はすごく生意気じゃねーか。
「あとはその時が来るのを待つのさ。僕がもう少し成長して、タマキちゃんより背も高くなって…」
「いつの話だよ」
「ふふ…。すぐだよ。そのために筋肉つけないようにトレーニングもサボってるんだから」
「……」
「ようするに、カゲミツ君の出番は終わったって事だよ」
「…俺はまだ諦めちゃいねーぞ」
ぼそっとつぶやく。
「なにそれ〜。諦め悪〜い」
「ほっとけ」
「ま、カゲミツ君要領悪いから。付け入る隙は与えないから」
「おまっ。やっぱり、俺がタマキにしゃべりかけようとすると邪魔してたな」
「今頃気付いたの…」
やれやれという風にため息をつかれて、さらにむかつく。
くそ〜。俺は絶対に諦めないからな。
二度だめでも、三度目の正直ってのもあるからな。
俺はタマキへの気持ちを新たに、頑張ることを誓ったのだった──。
(END)
2010/04/01
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