想いを伝えて4
(キヨタカグッドEND後 キヨ×ヒカ×タマ+カゲミツ)
射撃場でタマキを掴まえて外に連れ出した俺は、すぐさまキヨタカの事を聞こうとした。
「キヨタカがヒカルと付き合ってるって…」
『知ってるのか?』と聞こうとして、思わず言いよどむ。
もし、別れたと思って付き合ってるのならこの言い方はショックだろう。
なんて言おうか考えていたら、タマキの方がそんな俺の言いたいことが分かったのか、寂しげに微笑んだ。
「うん、知ってる。……それに、後から割り込んだのは俺のほうだってわかってる」
「お前…それでいいのか」
「ヒカルには悪いと思ってる・・・」
辛そうな表情。辛いことを聞いてるのはわかって、さらに続ける。
「キヨタカに対しては? 腹とか立たないのか」
「隊長には…」
俯くタマキ。
「愛されてるのは解ってるのに…。より多くを望んでしまう自分が嫌になる」
タマキの肩が震えてる。声を押し殺して泣くのを耐えている。
「お、俺ならお前だけを愛するのに。こんな風に泣かせやしないのに…」
思わずタマキを抱きしめて伝える。
「キヨタカなんかやめちまえよ! 俺と付き合えよ」
耐えきれないかのようにタマキの嗚咽が漏れる。
「カゲミツ…」
濡れた目で俺を見上げたタマキが、あまりにも切なくて、俺は思わず口付けた。
「ん……っ」
「好きだ。タマキ…」
キスした後も、しばらくそのままタマキを抱きしめる。
タマキは俺の腕の中で力を抜いて体を預けてきた。
「カゲミツとなら…。もっと穏やかで幸せな恋愛が出来るのかもしれない…」
「……」
「やめなくちゃと思いながらも、この気持ちが消せなくて…」
「……」
「苦しくて…」
「……」
「どうしたらいいのかわからない…」
俺はそんな顔をさせたくてこんな話をしたんじゃない。
タマキが幸せならそれでいい・・・と確認したくて…。
でも、心の中で二股で幸せなわけがないと思ってる自分もいて。
あわよくば、自分が割り込もうと思っていて。
そして、今、タマキの弱みに付け込んでこんなことして…。
なんだか、果てしなく罪悪感に襲われた。
なのに、止まらない。
「俺が忘れさせてやるよ」
タマキを抱きしめる腕に力を込める。
そんな、腕から逃れようとタマキが抗った。
「…カゲミツを利用するなんて出来ない」
「利用だなんて…いくらでもしてくれ。むしろ、弱みに付け込んでるのはこっちのほうだ」
「ごめん…」
それでも、タマキは俺の腕から逃れると、そっと俺の胸を押して離れた。
「これは俺の問題だから…。自分で解決するしかないから」
「タマキ」
「お前のおかげで決心がついたから…。ありがとう」
「……」
キヨタカと別れる決心?
そして、俺は二度目も振られて…。
痛々しく微笑んで、去っていくタマキの後姿を。
ただ、呆然と見送るだけだった。
2010/03/26
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