CROSS DELUSION
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All or Nothing
(キヨタカ ヒカル カゲミツ カナエ アラタ) ×タマキ


タマキが好きだ。

あいつのすべてが欲しいんだ。

だけど、あいつにそんな事いえるはずもなく・・・。








新人が入ってしばらくしてからのミーティング。

「みんな〜。フレッシュ歓迎会兼ねて、慰安旅行に行くよ〜」

キヨタカがにこやかにそう言った。

「なんだよ、そんなの今までやったことねーじゃないか」

下心があるんじゃないかと、キヨタカに疑いのまなざしを向けながら言う。

「お前また、変なこと考えてんじゃ・・・」

「ん? そんなことあるわけないだろう。みんなの事を思っての発案だ」

「ありがとうございます! で、どこに行くんですか?」

タマキはなんの疑いもなく、嬉しそうに聞いている。

「アタミに一泊二日だ」

(ベタだ・・・)

俺は思わずつぶやいた・・・。

「わーい、温泉だ。タマキちゃん一緒に入ろうね」

アラタはタマキに腕を絡めてはしゃいでいる。

「いいですね、温泉」

「久しぶりにゆっくりできるな」

ユウトとナオユキも嬉しそうだ。

「一泊くらいならサボテンだいじょうぶだよね」

カナエはどうやら家の観葉植物の心配をしているようだ。

(サボテン?・・・一週間でも大丈夫だと思うが)

思わず突っ込みそうになる。

ヒカルは・・・無言でキヨタカを睨んでいた。

きっと、俺と同じくキヨタカのよこしまな空気を読んでいるんだろうな・・・。




だが、そんな心配は無用だったようだ。

実際、温泉旅行は楽しかった。

温泉卓球は楽しかったし、料理はおいしかったし、カラオケも盛り上がったし。

キヨタカもたまにはいいことするじゃん・・・と俺は本気で思っていた。

部屋が8人の大部屋ってところには・・・大いに疑問を抱いたが、これは親睦を深めるためと経費節減のためだと言われると・・・何も言えなかった。

ま、それくらいはいいか。

・・・その時までは、本当に・・・本気でそう思っていたんだ。



「あれ、タマキは?」

カラオケの途中でタマキがいなくなったのに気付いた俺は、隣のユウトに尋ねた。

「ちょっと、酔いが回ったから休んでくるって。すぐ戻るって言ってたけど」

「ふーん?」

と周りを見渡すと、キヨタカもいない。

嫌な予感がした。

「お、俺。ちょっと様子見てくる」

まさかキヨタカのやつ。酔って身動き取れないタマキを襲ったりしてないだろうな。

急いで部屋に戻った。

部屋は電気が消えていた。

「あれ、もしかしてもう戻ったのか・・・?」

そう思いながらも、中を確認しようとすると、声が漏れ聞こえてきた。

「や・・・。隊長・・・」

「楽にしてやるだけだ・・・」

「だ、大丈夫ですから・・・あっ・・・んっ・・・」

くぐもる声。

「何してんだ!」

思いきり襖を開ける。

浴衣の胸の前をあらわにしたタマキと、それを抱きかかえるようにキスしているキヨタカの姿が目に入った。

「キヨタカ。お前、タマキには手を出すなってあれほど言っただろ!」

「いや、これは苦しそうだから緩めただけだが」

「浴衣緩める必要がどこにあるんだよ、それになんでキスしてんだ!」

「口移しで水を飲ませていただけだ」

タマキの口からこぼれた水が頬を伝って落ちていく。

頬を染めて、胸をはだけさせて、しどけなく横たわっているタマキは、とても艶めかしかった。

それを見ただけで、体の奥が熱くなる感覚が湧きあがるのがわかった。

「もちろん、こんなタマキをそのまま放っておく俺じゃないがな」

「やめろ。タマキから手を離せ!」

「お前こそ、こんなタマキを見て放っておけるのか」

「・・・・お前みたいに遊びじゃない・・・」

出来るだけ、感情を抑えた声で言う。

「じゃ、俺が本気だと言ったら?」

「カゲミツ?・・・隊長?」

何を言われてるのか解ってないタマキが、俺たちを不思議そうに見上げる。

「タマキ・・・。前回の遊んでみないかは撤回する。俺と本気の恋をしてみないか?」

「え・・・」

抱きかかえたタマキに今度は本当にキスをするキヨタカ。

「んんっ・・・・」

「なっ、なにすんだキヨタカ」

「俺は本気だぞ、タマキ。一目見たときから、お前が欲しいと思っていた」

顔を赤らめながら、タマキは尋ねる。

「でも、それは隊員として必要とされてるんじゃ・・・」

「最初はそうだったが。そばで見ているうちに全てが欲しくなった」

「や、やめろー」

俺は、キヨタカからの手からタマキを奪い取ると、ひしと抱き寄せた。

「お前なんか、ヒカルと出来てるくせに、なんでそんなことが言えるんだ。二股かけてるくせに」

それからタマキに向き直る。

「タマキ。キヨタカはやめとけ。こいつは絶対お前を幸せにできない。俺なら、お前だけを愛してる」

「ちょっとまった」
「なに抜け駆けしてるのカゲミツ君」
「なにしてんだキヨタカ」

そこへ、カナエとアラタとヒカルが乗り込んできた。

「俺だってタマキ君を愛してるよ」
「僕だって、とっくにツバつけてるんだからね」
「キヨタカがそのつもりなら、俺だって黙っちゃいないぜ」

「え、なんなんだよ、お前ら」

あっという間にみんなに囲まれていた。

「タマキ、俺を選べ」
「タマキ君愛している。俺を愛して」
「タマキちゃん、僕を選んで」
「キヨタカを選んだらもれなく俺もついてくるからな」
「ま、待てよ。俺だってタマキを愛しているんだからな」

それぞれに迫らせて、ただただ驚くタマキ。

「そ、そんな・・・」





《そのころの、ナオユキ・ユウト》
「みんな、どこ行ったんだろうね。遅いね」
「いいんじゃね? 二人でカラオケ楽しもうぜ」
「うん。次、何歌う?」
「そうだな・・・」
マイペースな二人だった。




閑話休題。


タマキは、みんなの勢いに驚きながらも、状況を把握してきたようだ。

「みんなに愛されるって言われて嬉しいけど、俺、そんなこと考えたこともなくて・・・」

しどろもどろ答える。

「じゃあ今、選べ」
「タマキ君、選んで」
「タマキちゃん、僕だよ」
「まさかキヨタカを振らないよな」
「タマキっ」

「む、無理だ。一人だけ選ぶなんてできない。俺・・・みんな必要としてるし。・・・みんなを愛してる・・・んだと思う」

「じゃあ、俺が君を抱きたいと言ったら、受け入れてくれる?」

カナエがそっと手を伸ばす。
タマキの前に膝をついて両頬を包み込んで尋ねる。

「お前がそう望むなら。いくらでもくれてやるよ・・・」

カナエがタマキに口付けすると、タマキもそれに応えた。

俺が、タマキの体を抱きしめたまま離さないでいると、カナエが俺を見据えた。

早く離せと言わんばかりに・・・。

「お、俺は・・・」

抱きしめる腕に力を込める。

「お、俺は嫌だ。他のやつに獲られるなんて」

「カゲミツ・・・」

タマキが俺の腕をほどく。

「ごめん、お前だけを選べない」

タマキがそのままタマキに抱き寄せらると、ほかのやつらがめいめいに腕を伸ばしてきた。

腕を取られ、帯をほどかれ、みんながタマキの着ているものを降ろしていく。

みんなに抱かれていくタマキを俺は、ただ呆然と見ているだけだった。



嫌だ、お前のすべてが欲しいんだ。
全てが欲しい、そうでなければ嫌だ。



「カゲミツ君」

隣にアラタがやってきた。

「カゲミツ君、タマキちゃんが好きなんでしょう? ならばどうして全てを受け入れないの? 誰か選ぶことが出来ないというタマキちゃんも本当のタマキちゃんなのに・・・」

「・・・」

「カゲミツ君の嘘つき」

アラタの声が、冷たく響く。

「僕はタマキちゃんを抱くよ。・・・さようなら、カゲミツ君」

用はないとばかりに一瞥される。

「お、俺は・・・」




(どうする、カゲミツ君2 〜All or Nothing〜 つづく)






《そのころの、ナオユキ・ユウト》
「みんな、戻ってこなかったね」
「いいんじゃね? 俺たちは二人でゆっくり温泉楽しもうぜ」
「そうだね・・・。それにしてもナオユキの筋肉かっこいい」
「だろ。腹筋も見てみろよ」
やはり、マイペースな二人だった。

2010/03/16

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