MEMO
小ネタ5(さらに気の早いバレンタインネタ。ちょっぴりタマカゲ風味)
2010/12/18
「これは?」
タマキは目の前に出されたシックで落ち着いた包みの箱を眺めながら、カゲミツに問うた。
「えっと、……ちょっと買い物の時についでというか…。タマキが好きそうだから買ってきただけで……特に何ってわけでもないんだけど、よかったら食べないか?」
必要以上に赤く、そしてすこし焦りながら言い訳のように喋り続ける、いつになく饒舌なカゲミツ。
「開けていいか?」
「おう」
包みを解いてみれば、そこに現れたのは、いろんな種類のチョコレート。
しかも、「ちょっと」とか「ついで」に買えるような内容でなく、いかにもそこらには売ってないような高級そうなチョコである。
「これって…」
「いや、ちょうどフェアをやってたから……」
そりゃ、やってるだろう。
今やバレンタインフェアの真っ最中だから──。
「ありがとう……。嬉しい。でも、俺一人で食べるのはもったいない。…カゲミツも一緒に食べよう」
「あ、うん」
「じゃ」
そういいながら、タマキはチョコレートを一つつまんだ。
そのままカゲミツの口の前に持っていく。
「え……」
「ほらっ」
促されて、おずおずと口を開けるカゲミツ。
真っ赤になりながら、上目遣いにこちらを見上げる表情は度し難い可愛さで。
ちらりと見える赤い舌がとても扇情的に映る。
開いた口から舌先にチョコを乗せてやると、舌がタマキの指を掠めた。
ぞくりとした感覚が指先から伝ってくる。
そんなタマキの心情を知る由もなく、カゲミツはチョコを口に含む。
口内で滑らかに溶けていくチョコを味わいながら、
「これ…すげー美味いかも…」
と言い、それからしまったという顔をした。
「あ……、チョコは一種類ずつしか買ってないし、俺が食べたらタマキが……」
「大丈夫。俺も一緒に味わうから……」
そういい終わらぬうちに、タマキがカゲミツの口を塞ぐ。
「ん……っ……」
甘いチョコと甘い口付けに酔いしれながら、タマキはその味を存分に味わった。