某携帯のCMが可愛かったので、ケータイ=人型というパロ…

▼星リクver.

一人一台もとい、一人一体のケータイを持つ時代。

何が困るって、ケータイとは一日中べったりくっついてなきゃならない。それがどんなに、気の合わない相手でも。

「…ついてくんなよ」
「は、好きでついて来てやってんじゃねーよアホ」
「持ち主様に向かってアホとは何だよ!」
「ああん?何だよ偉そーに。俺がいねーと何も出来ねェ癖してよ」

俺の「ケータイ」、通称星は、本当に生意気な奴だ。こんな口喧嘩はしょっちゅう。この上なく腹立たしいが、これでも中には仕事関係の大切なデータがたくさん入ってるし、機種変更にはかなりの手間と労力がかかる。

だから今日も嫌々行動を共にしてるワケだけど、もう一つ憎たらしいのが、(金をかけただけはあって)これでなかなかよく出来たケータイだってことだ。

例えば、一旦仕事に切り替えれば。

「星お前、流石にそれは詐欺…」
「何か言いましたか、社長」
「…いや」

普段のちゃらちゃらした格好から、勝手にモデルチャンジして、ビジネスシーンらしくスーツを着こなす。好き勝手遊ばせてる髪も、きっちりセットされ。あの口の悪さはどこへやら、敬語まで使ってくるから怖い。寒すぎる。秘書もかくやの働きで、取引先でもなかなかウケがよかったりして。

今日も無事に仕事を終えて帰社すると、

「あー疲れた。リク、茶入れろよ茶」
「…フツー逆だろうが、逆!」

途端にこれだ。さっきまでの愛想の良さはどこいった!?
まったく、仮にも社長の俺にそんなクチ聞くのは、お前くらいのモンだよ…。

深く沈みこむ社長室のソファに腰かけ、呆れ顔をしていたら、

「けどま、よかったな。無事契約取れて。今回のプロジェクト、かなり力いれてんだろ」
「……ああ」

ぽん、となにげなく頭上に置かれた大きな手。…悔しいけど、努力を認められた気がして、嬉しかった。

こんな奴でも、やっぱりケータイってのは、持ち主の一番の理解者で、パートナー…らしい。

「ま、殆どこの星様のおかげだけど?」
「……」

…前言撤回、このニヤニヤ顔みてたら、本気で廃棄処分にしてやりたくもなりますけどね。ほんとお前、俺が心の広い持ち主でよかったな!


▼じっさい星はスーツにあうんだろうか

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