某携帯のCMが可愛かったので、ケータイ=人型というパロ…
▼ゴトタツver.
一人一台もとい、一人一体のケータイを持つ時代。
「今日もバカみたいに働くねー。後藤」
「時期が時期だからな。頼むから、達海もあまりサボってくれるなよ…」
苦笑いで、助手席に座る俺の「ケータイ」、達海に頼みこむ。こんなことをケータイに言うのはおかしな気もするけど、実際、知らないうちに勝手にドライブモードに切り替わってたり、サボリ癖があるからな、うちの達海は。釘は刺して置かないと。
「昼飯は?」
「ああ。昼はちょっとだけ時間あるから、クラブハウス近くの定食屋に行くつもりなんだが」
「ふーん。ま、俺はタマゴサンドでいーや。後でコンビニ寄ってよ」
またか。コンビニに寄るくらいは構わないが、偏食にも程があるだろと、自然と眉根っこが寄ってしまう。
「いつもそんなのばっか食ってたら、栄養偏るぞ…」
「ハハ、後藤っておもしれーよな。ケータイの栄養バランス心配してどうすんの?」
確かに食べなくても死なないんだから、心配はいらないんだろうが。もともと心配性で世話焼きの性格のせいか、あれこれと達海のことが気になってしまう。広報の有里ちゃんにも「一体どっちがケータイだかわかんない」と呆れられたくらいだ。
「とにかく、後で一緒に定食屋行こう」
「はいはい、わーったよ。まあ俺としては、優秀で働き者なGMさんの体調の方が心配だけどね」
「…痛み入るよ」
達海の声が、珍しく真面目な響きを帯びている。ほら、こう見えて持ち主思いなところもあるんだ。その心遣いにちょっとジーンときていたら、
「そんな後藤にいらない苦労かけらんないから、今日は電話も繋いでないしね」
「そうか、ありがと…えええっ!?」
思わずハンドルを切りそこなうところだった。横目で見た達海は、一転、手の甲に顎をのせニヤニヤ笑っている。さっき釘を刺した意味はなかったらしい…。
「ダイジョーブ。大事な用件はちゃんと繋ぐから、安心しろよ」
「はぁ…頼りにしてるよ、達海」
「どーも」
本当に俺を心配してくれてるのか、自分がサボりたいだけなのか。
それは神のみぞならぬ、ケータイのみぞ知るところである。
▼後藤さんはケータイになっても達海に振り回されそう笑