▼?×タマ・カナタマ
DC2・狂宴の幕開けEND世界


※大したことないけど R18
※タマキがビッチです




絶えない話し声、BGMというには少しうるさすぎる音楽。カナエの趣味の店ではない。ここには何度来たって、いつも気が重くなる。

「…彼、来てますか」

顔を上げた馴染みのバーテンは、無表情のまま、ちらりと店の奥に視線をよこした。それだけで全て飲み込めてしまい、カナエは胸の中の暗い淀みを吐き出すようにため息をついた。

「お飲み物は?」
「俺は結構です。彼を迎えに来ただけなので」
「…時間、かかると思いますがね。お取り込み中のようですので」

どこか嘲るようなバーテンの言葉にさらに鬱屈した気持ちになりながら、カナエは店の奥へと重い足を向けた。


このバーの奥まったところには、常連向けのボックス席がある。といっても出っ張った壁の死角になっているだけで、ドアも仕切りも何もない。ちょっと壁の裏を覗けば、誰にだって見えてしまうような場所だ。

そこへ向かって足を運んでいるだけで、喧騒にまじって、微かに異質なものがカナエの耳に飛び込んできた。

『…ぁ、っ…ん……』

本来、こんな公共の場で聞くのはおかしいような、高く弾んだあまったるいコエ。酒も飲んでないのに、酷く胸がムカムカした。

『あっあ、ぁん…』

声に誘われるようにそっと中を覗けば、席は柄の悪そうな若い男たちが陣取っていて、テーブルの上に酒やドラッグの類が散らばっている。

…その中心、リーダー格らしい、腕に目立つタトゥーを入れた体格のいい男の膝の上に、場違いなくらい華奢な身体が跨がっていた。

上ははだけきったシャツだけ、下には何も着けず。こっちに背を向けてるから顔は見えないが、その蕩けた声からどんな顔をしてるかは想像がついた。

『んっ、ふァ、もぉっゆび、やだってばぁ…』
『ああ?何でだよ、こんなに美味そうに飲み込んでるだろ?』

ナカにつっこまれた太い指で掻き回されてるのか、びくびく身体を震わせ、目に痛いほどに白い項から背中へのラインがあらわになる。

目の前で交わされる情事に周囲の男たちもすっかり興奮したようで、思い思いに自分の性器を取り出して抜きはじめ、それは一種異様な光景だった。

『あっあっ、もぉ、たんなっ、たりないからぁ…!』
『くっく、もっとぶっといモノが欲しいってか』
『ん、ほし…ああァ、はやくっ、きてぇ…!』
『タマキちゃんは欲張りだなぁ……ほら、お望みのモン、やるよっ』
『ひっああああァっ』

一層甲高く、甘く掠れる悲鳴のような。確かに快感を享受する悦びの声。ぐちゃぐちゃとあがる激しい粘着音。
口の中に鉄の味が広がって、カナエははじめて、自分が知らず知らず唇を強く噛み締めていたのだとしった。

…そのときだ。
大きく半身をのけぞらせたタマキと、確かに目があったのは。

突き上げられ揺さぶれながら、真っ暗な欲に濡れた目を細め、カナエを見て笑ったのだ。カナエでも全身の毛がぶるりと逆立つくらい、妖しい笑顔で。

「ッ、…!」

どうしてそれ以上見てられるだろう?
この世でただひとり、どうしようもなく愛してやまない人が、他の男に抱かれてあさましく悦ぶ姿を。

握った拳を壁に叩きつけてやりたい酷い気分を抑え、カナエはそのまま踵を返した。






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