情事後のけだるい余韻の中。ぼんやりと幸せに浸っていたカゲミツは、ふと、隣からの意味ありげな視線に気がつく。

「どうした?」

無理をさせたかなと心配になって、額にはりついた黒髪を、そっとすく。まだ紗のかかった瞳が瞬くのが色っぽくて、少しドキドキしてしまう。

「ん、かみ、キレーだな、と思って」
「髪?…俺の?」
「うん。いつも思うけど、こんなキレーな金色って、なかなか無いよな…」
「…タマキにそう言って貰えると嬉しいな」

大嫌いだったこんな髪にも、心から感謝したくなるくらい。現金だなあ、俺って。


「あ、でも、そう言えば前にも一度だけ、見たことあるような…」
「え?」
「カゲミツよりもっとずっと長くてさ、後ろでひとつに束ねてて、月のひかりで動くたんびにキラキラして、キレーだったんだ…俺急いでて、名前も聞けずに別れちゃったけど…あれ、いつだったっけ…」

懐かしそうな目で語るタマキに、思わず唇の端がゆるむのが抑えられない。

「カゲミツ?」

くすくすくす。

「む、なに笑ってんだよ…?」
「んー?なんか、そいつに妬けるなーと思ってさ」
「なんだよそれ…ん、」

溢れる思いの丈をどう伝えればいいかわからず、軽く優しいキスを顔中に降らせた。


「タマキ、すき」
「……………俺も」


甘く幸せな時間は、懐かしい思い出もぜんぶ飲み込んで、いまの恋人たちの為だけに、ゆるやかに流れていく。






★長々とお付き合い頂きありがとうございました!二人が過去に出会ってたらどんな感じだろう?という妄想。ツンなカゲミツを書こうとしたのにやっぱりタマキの前ではデレた^^あとタマキは格好よくて(強くて)なんぼ!と主張したいです。だってリーダーだし。本編活躍少なくて悲しい…逃避行中はかっこよかった

いちおうタマキは警察学校時代、たまたま街歩いてたら子供と間違われて売人にクスリ買わない?と誘われ…誘いに乗ったフリして捕まえようとしてた、みたいな こんなとこで補足してすみません



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