2011 / 03 / 02

厄介なことになっちまったよなあ…。

色々と首を突っ込む性格からか、正直面倒事に巻き込まれることは多い。まあその最たるである懐かしきクソ王子の件は、俺たちはなんも悪くなかったけど。

今回も、俺にはなーんの非もないと、そう思いたい。
……何が悲しくて、幼なじみ(男)に告られたあげく、ぐいぐい迫られにゃならねんだ。よくも続くよなってくらい毎日毎日。電波の考えることはまじでわからん。

「はあ〜」
「んだよ。でっけーため息ついてよ。腹でも減ったか?」
「横田…お前はいつでも呑気だよなァ…」
「あァん?喧嘩売ってんのか?」

凄んでくる横田の相変わらずおっさんくさい横顔にも、今日ばかりは腹が立たない。

「…横田、俺が道踏み外しても、お前はダチで居てくれるよな?」
「あ、ああ?なんだよ急に、気持ちワリーな…」

俺だって気持ちわりーよ。自分で自分が。
…何が一番厄介かって、それを満更でもないと思い始めた自分がいることだ。

気がついたら、頭ん中には黛が住んでいた。それも、今まで見たことがないような表情をするアイツが。…色気より食気の自覚のある俺、糸井理奈を好きだった時さえ、こんなに誰かのことで頭がいっぱいになったことはない。

「黛。…すんげー認めたくないけど、オレ、お前ンこと好きになっちまったみたいだわ…」

ついに、白旗を振る。

もともと気は長くないんだ。一度自覚しちまえば、どんなに男の矜持やらプライドやらが邪魔しても、隠すことはできない。

「……」
「…黛?おい、聞いてんのかよ、人の一世一大の告白を」
「……信じられない」
「あぁ?何だよソレ、そもそもお前があんまりしつこいから…ってオイ、その顔…」

滅多に、というか、普段全く表情を変えない黛。それが何だ?ぽかんとした男前台なしの間抜け面で、耳の先から首まで真っ赤だなんて。またまた新しい表情だ。

その顔がムショーに可愛く思えるなんて、自分は思ったよりこの男に惚れてるのかもしれない。

「…ってバカ、何いきなり抱きついてきてんだよ!」
「…やっぱり君は運命の相手です。僕のブルー」
「げ…!」

訂正、やっぱこいつの考えることはわからん!



「ん?てーと、俺たちのキューピッドって、あのバカ王子になるわけ?」
「それはそれで、認めたくない事実ですけどね」
『全く、感謝して欲しいものだよねーホント』

「「……」」

顔を見合わせた俺たち、口に出さずとも心の声は一緒だった。

聞かなかったことにしよう、と。




あー楽しかった!!笑


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